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炎の華還り咲く刻

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第2話 芹那


「芹那ーーっ!」

階下から聞こえる母親の声に、芹那は大きな声で返事をする。

「はぁいっ!今行くーーーっ!」



外波山芹那。満二十三歳。

地元の普通高校を卒業して、

同じように地元の短期大学を卒業。

その後すぐに今の会社に入って、今年で四年目。

まだまだ社会人見習いだ。





「にゃぁ〜。」

芹那の足元に擦り寄ってくる猫。



「おはよう、せりな。」

芹那と同じ名前のこの猫は、この家で飼われている愛猫だ。



芹那はせりなの頭を撫でて、笑いかける。

黒いしなやかな体をより擦り付けながら、せりながもう一度『にゃぁ』と鳴く。



「いってくるね。」

そう言って芹那が立ち上がる。



窓から清々しい春の日が差し込んでくる。

窓の外を見つめた芹那は、ふっと笑みを漏らして…

「いってきます。」

そう呟いて部屋を出て行った。





「早くしないと遅れるわよ。」

階段を下りると、リビングから母親が顔を出していた。

その手の中にはお弁当箱。



「大丈夫。走ればまだ間に合う。」

言いながら母親の手の中からそれを受け取って、

芹那は慌しく玄関に向かった。



「いってきま〜す。」



都心から外れたこの地域では珍しいかもしれないが、

芹那は自動車の免許を持っていない。



その為、会社まではバスを乗り継いで通っていた。





「乗りますっ!」

今にも発車しそうなバスに飛び乗って、芹那は息を整えた。



今日からまた新しい一日が始まっていく。



続く→

作品名:炎の華還り咲く刻 作家名:雄麒