小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

白い日記帳

INDEX|7ページ/33ページ|

次のページ前のページ
 

第5話 幸ちゃん


それから少し月日は流れて、私達は中学生になった。

あの日から変わらず
私はこの頃も、日記を書き続けていた。

花柄のピンクのノートもページが無くなって
日記帳は二冊目になる。

4月16日

今日は身体測定だった。
身長が5cmも伸びてたからうれしかった。
みっちゃんとゆきちゃんにそれを言ったら
二人の方がもっと伸びてた(泣)
今日から二倍牛乳飲もう!


成長期だったこの頃。
もちろん私も成長したが、
みっちゃんと幸ちゃんは驚くほど大人になった。
ずっと男の子だと思っていた二人は
この二年で男の人になっていた。

特に幸ちゃんは見違えるくらいカッコ良くなって
学校中のアイドルだった。
先輩も後輩も同年代も、皆幸ちゃんに恋してた。

頭が良くて、スポーツも出来て、カッコ良い幸ちゃん。
ちょっと人見知りのせいか、クールな態度は
幸ちゃんの魅力をより引き立てた。

幸ちゃんがもてるのは当たり前で、
私にとっても嬉しいことだった。

だけど…その反面…
『今更……』という気持ちもあった。

幸ちゃんはずっとカッコ良くて、いっつも優しくて
そんなの前から判ってたのに。





「あれ?幸ちゃんは?」
「今日は一緒に帰れないってさ。」
「ふーん。」

「何だ?芹那、ヤキモチか?」
「そんなんじゃないもん。ただ…ちょっと淋しいなぁって。」

「あいつも男だって事だよ。」
みっちゃんが先を歩く。

私はその後を追いかけた。
「じゃぁ、みっちゃんは男じゃないの?」

「バーカ。俺だって男だよ。
 こんなに男前なのに、周りは全然気付かねぇんだ。」
「そういう事にしといてあげましょう。」

「言うね〜?俺に惚れるなよ?芹那。」
「ばーか。」

私達は笑った。
幸ちゃんはいなかったけど…
二人で笑って家路についた。

私の右側が少し広々としていて
ちょっと複雑な気持ちになったのを覚えている。


4月23日

今日はみっちゃんと二人で帰った。
ゆきちゃんはどうやらデートらしい。
ちょっと淋しかった。


この後、みっちゃんと二人での帰宅は度々あった。
幸ちゃんはもてるから、いろいろ大変だっただろうなぁ…。


続く→
作品名:白い日記帳 作家名:雄麒