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白い日記帳

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第2話 どこ行くの?

「み〜っちゃん。あーそーぼー。」

その日の朝。
私はいつも通りに家を出て、みっちゃんの家に向かった。

三歳の私に母親は『一人で道路に出ちゃいけません』と言っていたので
私はいつも秘密の抜け道を使っていた。

私の家の庭と、みっちゃんの家の庭との間にある植木。
その隅の方に子供が通れる位の穴がある。
私はいつもそこを通って、みっちゃんの家に行っていた。


「みっちゃ〜ん。」
「せりな?今日はだめだよ。一緒に遊べないんだ。」
「何で?」

「今日から幼稚園に行くんだ。」
「じゃぁ、せりなも行く。」
「だめだよ。せりなはお留守番。」

その頃の私は幼稚園なんて知らなくて
一緒に行くって駄々をこねたっけ…。


「みっちゃ〜ん、まだ〜?」
玄関の方から幸ちゃんの声がして、
私は泣きながら幸ちゃんに抱きついて…

「せりな?どうしたの?」
「みっちゃんがぁ…ひっく……せりなは来ちゃだめっていう〜。」

ビービー泣き続ける私を、
幸ちゃんは何とか宥めながら。
「僕もみっちゃんと行かなきゃいけないんだけど
 すぐに帰ってくるから。ね?」
「すぐってどれくらい?」

「そうだなぁ、せりなが一回ご飯食べて、すぐだよ。
 それまで待っていられる?」
「…………うん。まってれる。」

幸ちゃんに頭を撫でられながら、涙を拭って二人を見送った。



その後、いつもの通路を通って家に戻ると
私はお母さんの元に走った。

「おか〜さ〜ん。ごはん。」
「ご飯?さっき食べたじゃない?」
「ちがうよ。もう一回ごはん食べたら、
 ゆきちゃん達が帰ってくるの。ゆきちゃんが言ってた。」

「そう……。
 ねぇ、芹那?お母さん今お腹いっぱいだから
 もう少し後の方がいいな。
 芹那もまだ食べられないでしょう?」

「う〜ん。わかった。じゃぁもうちょっと後ね。」


今思い出しても、あの頃の私ってバカだなぁって思う。

二人と同い年だったら…もっと楽しかっただろうな…って思うけど
やっぱり……このままがいいな……なんて思う。

それが…

私だし…
幸ちゃんだし……
みっちゃんだから……。


続く→
作品名:白い日記帳 作家名:雄麒