白い日記帳
最終話 最後のメッセージ
ボンヤリと見つめた携帯電話。
画面が変わって、
手紙がポストに流れ込んでくるアニメーション。
手の中の携帯が小さく振動して、
メールが届いたことを伝える。
「うわぁ。」
私は声をあげて驚く。
それもそのはず、受信BOXには
今までのメールが全て押し出されて届いていた。
「幸ちゃん?」
最初のメールを開けると、送信者は幸ちゃんだった。
T 03/28 23:48
F 幸ちゃん
S 無題
あまり遅くならない内
に帰って来いよ。
-END-
そのメールを見て、少し笑った。
きっと…幸ちゃんは見ていたんだ……
私が家から出て行くのを……
それから全てのメールを開けていく。
仲のいい友達や・先輩。
沢山の人からのメール。
内容は『大丈夫?』やら『今度はいつ学校に来れるの?』やら…
どれも心配してくれている、励ましのメールだった。
その中に幸ちゃんからのメールも入っていて。
ここでも……やっぱり……幸ちゃんは謝ってた。
「私…何してるんだろう?
みんな……こんなに心配してくれてるのに……。」
ふふっと笑って……
右の矢印を押した。
「!?」
次に出てきた送信者の名前を見て驚いた。
みっちゃんからだった……
見開いた目で、上に出た日付を確認して納得する。
受信日は二月五日。
これが………最後のメッセージ
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T 02/05 21:20
F みっちゃん
S 無題
しあわせになれ
-END-
平仮名で打たれた
たった七文字の言葉
みっちゃんの想いが伝わってくる。
「みっちゃん…みっちゃん………。」
泣きながら、みっちゃんの名前を呼んで
何度も何度もその文章を読み返した。
「みっちゃん…本当に……本当に…大好きだったよ……」
空に向けて発したそれは……
大空に打ちあがって…華を咲かせた…
きっと……
みっちゃんに…届いてる……
私の最後の花火……
みっちゃんに贈る……最後のメッセージ………
終わり