白い日記帳
エピローグ
「芹那〜〜!遅刻するわよ〜!!」
下の階から、母の声がする。
「はーーーいっ!!」
私は大声で返事をする。
そんな変わらない日常。
あれから三年……。
私も立派な社会人になった。
バッチリスーツを着こなした自分の姿が鏡に映る。
「ふふふ。」
あの頃より、ずっと大人っぽくなった自分を見て笑う。
「綺麗になったでしょう?驚いた?」
誰に言う訳でもなく呟いた。
その後に大切な人の名前を口にしようとして
思い留まった。
窓の外
変わらない景色
私はにっこり微笑んで言う。
「いってきます。」
くるりとユーターンをした私の目に
数冊のノートが目に入る。
ずっと書き続けている日記帳だ。
一年に一冊
今年で九冊目になったそれ
そっと触れて…口元が緩む。
私はきっと…これからも書き続ける……
私の全てが詰まったそれ……
ノートを年々重ねて……
そして…たまに見て……笑うのもいいな……
書き続けた日記帳……
六冊目の空白は……
六冊目の白は……
今でも……白いままだった………
完了 08年12月26日