白い日記帳
第28話 謝罪 貴光の想い
「貴光は……知ってたよ。」
夕日が沈みきって、真っ暗になった部屋。
幸ちゃんがボソリと呟いた。
「え?」
幸ちゃんを見上げた私の顔は
涙でぐしゃぐしゃだっただろう。
「全部……知ってた……
だから…言えなかったんだ……
貴光は…知りすぎていて…言えなかった…。」
「幸ちゃん?」
眉をしかめて辛そうにした幸ちゃん。
我慢するより、泣いちゃった方が楽になるのに……
「芹那が…貴光を好きな事……あいつは知ってた。」
幸ちゃんの言葉に、
私は目を丸くして驚いた。
「貴光だって……芹那が好きだった。」
「う……嘘……。」
「見てれば判る。貴光は芹那を何よりも大事に思ってた。」
「じゃ…じゃぁ…何で?」
驚きを隠せない私。
黙りこくった幸ちゃん。
「ゆきちゃ……
「あいつは全部知ってた。」
私の言葉を遮った幸ちゃんは、さっきと同じ言葉を繰り返す。
「俺の気持ちも………。」
「幸ちゃんの気持ち?」
「芹那……ごめんな……。」
「何で幸ちゃんが謝るの?」
どうして幸ちゃんが謝るのか判らなかった。
それでも私に謝り続ける幸ちゃん。
「幸ちゃんっ!もう……いいから……もう…。」
幸ちゃんの震える体を抱き締めて、私も泣いた。
みっちゃん……
どうしていってしまったの?
あなたを想って……
沢山の人が泣いているのに……
こんなにも……
あなたを必要としているのに……
どうして……?
どうして…私達を置いていってしまったの……?
続く→