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白い日記帳

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第24話 窓の向こう側
真っ暗な部屋。
音の無い空間。

私は蹲って膝を抱える。

窓から漏れる月明かり。
あの日から真っ暗なみっちゃんの部屋。

涙の出なくなった真っ赤な目で見つめる。

本当なら…今頃………
みっちゃんがいて…
幸ちゃんがいて…
私がいて…
くだらない話で笑っているはずだった……


「……っく……」

話したい事がいっぱいあるの……

私…マーライオン見てきたんだよ……
夜…部屋を抜け出して先生にすごく怒られちゃった……
お土産だって…一生懸命選んで……

それにね……
いっぱい…いっぱい悩んだよ……
いっぱい…いっぱい考えたんだよ……

みっちゃんに…どうやってこの想いを伝えようか……


「芹那?」
母が部屋のドアを開けたけど、体制は変えず。

「ご飯……出来たけど……?」
「いらない。」

小さな声でそう返すと、少し間を置いて扉が閉まる。


再び真っ暗になった部屋。

「……ぅ……。」
声を殺して泣いた。


「にゃぁ……」
キィと扉の開く音がして、子猫が入ってくる。

「にゃぁ〜」
近づいてくる子猫に気付いて、私は枕を握り締めた。

「来ないでっ!!」
大声を出すと、子猫はその小さな体をビクリと震わせて
その場に立ち止まる。


「………っ!!あんたのせいで…みっちゃんがっ!!!」
握り締めた枕を思い切り投げつけた。

子猫はスルリと身を翻して避けて、物陰から見つめてくる。

「にゃ……にゃぁ……」
その声があまりにも悲しそうだから………

「……ひっく……」
私はベッドを降りて、子猫に近づいた。


「にゃぁ…」
首を傾げた子猫を抱き上げる。

「………っく……ごめんね……お前が悪い訳じゃ……ないのに………。」

涙が子猫の柔らかい毛に染み込んでいく。

「にゃぁ………」
子猫は私の腕の中で、小さく鳴いた。

震える声で鳴く…その声は……
一緒に泣いてくれているように……感じた………

続く→
作品名:白い日記帳 作家名:雄麒