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白い日記帳

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第20話 貴幸
階段をバタバタと下りていく音が聞こえる。
段々小さくなっていくその音に、俺はため息を落とした。


『芹那に告白しようと思ってるんだ』

数分前の自分のセリフ。
頭を抱えて自嘲した。

  そんな勇気もないくせに………

どこかで誰かの声がした。



ずっと…ずっと好きだった……
幼い頃から一緒に居た…一つ下の女の子

泣き虫で……
淋しがり屋で……
意地っ張りな……

そんな…芹那が好きだった……

だけど…俺は言わなかった……
知っていたから…言えなかった……

芹那が…貴光を好きな事……
貴光が…芹那を好きな事……

俺がいるから二人が付き合わない事も………

全て知ってた……
知ってたから……辛かった……

いろんな女の子と付き合ってみたけど……駄目だった……
誰も芹那の代わりにはならなかった……


そう……言ってみただけ…
告白なんてする気は…さらさら無かった…
振られると判ってて……言える訳ない……

言ったら何かが変わるかもしれない
二人が付き合う事になったり……?

「はは……バカみたいじゃないか……。」

何て……間抜けな話だ
何て……滑稽な男だ

俯いて見つめた地面に、ポタリと雫が落ちる。

コンクリートに染み込んだそれは、次々と地面を濡らしていく。

(雨か……?)

空を見上げると、黒い雲から大粒の雨が降り出していた。

ボタボタと痛々しい音を出しながら、雨は降り続ける。

「俺の代わりに泣いてくれるのか?」
空を見上げて呟いた。

頬を伝う冷たい雨。

さっきの……
最初の一粒は……雨だったのか……それとも……?


続く→
作品名:白い日記帳 作家名:雄麒