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白い日記帳

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第16話 国境さえも飛び越えて
2月21日

今日から一週間、
みっちゃんとゆきちゃんは修学旅行。
シンガポールに行くらしい。
ちょっと淋しいけど、我慢我慢。



みっちゃんと幸ちゃん、高校二年の冬。
受験を前に最後の思い出作り。

少し大人になった私は、笑顔で二人を見送った。

「気を付けて行ってきてね。」

手を降る私に、
幸ちゃんは『あぁ』と軽く手を上げて、
みっちゃんは『淋しいからって泣くんじゃねーぞ』と笑った。

「泣かないよ。もう子供じゃないもん。」
私は頬を膨らます。

三人で笑って、二人は大きな荷物を背負って旅立って行った。



二人がいない一週間は、ものすごく長く感じて…
日記が思うように進まない。

だって……書くことが無いから…
みっちゃんがいないから…何も書くことが見つからない…

せめて…声だけでもいいから…
せめて…文字だけでもいいから…

あぁ〜海外ってものすごく不便。
メールも携帯も繋がらないなんて。

みっちゃんのいない毎日なんて……つまんない…

私が…もう少し大人なら……
会いに行けるのに……

国境さえも飛び越えて……
逢いに行けるのに……


2月29日

今日はやっとみっちゃん達が帰ってくる。
いっぱい思い出話聞かせてもらおう。
お土産買ってきてくれるって言ってたから
すごく楽しみ。


その日の夜。
部屋でそわそわしていた私に、外から聞こえた声。

(帰って来たっ!)

みっちゃんと幸ちゃんの声が聞こえて、
バタバタと階段を駆け下りた。


「お帰りっ!」

インターホンが鳴る前に開けた扉に、
二人は驚いて笑った。


「「ただいま」」

にっこり笑った二人に、
心底ホッとして私も笑顔になる。


「これ、お土産。」
二人に渡された小さな包み。

「開けてもいい?」
そう聞く私に二人は『どうぞ』と言った。


「わぁ、可愛い。」
幸ちゃんのくれた包みを開けると、
中からネックレスが出てきた。

ネックレスのトップに、ライオンの様な動物。

「マーライオンって言ってね、向こうのシンボルとか守り神なんだって。」
「そうなんだぁ、ありがとっ。幸ちゃん。」

みっちゃんから貰った包み。
ドキドキしながら開けると、
中から出てきたのは、ストラップだった。

「これもマーライオン?」

「くそっ、やっぱかぶったか。違うやつにすれば良かった。」
みっちゃんが悔しそうに言うから

「すっごく嬉しいよ。ありがとっ。みっちゃん。」
私はそう言った。


二人からのお土産
本当に嬉しかったよ…

絶対大切にするから


夜の街頭の下で光った

幸ちゃんからのネックレス
みっちゃんからもらったストラップに付いてたピンクの宝石

どっちも……大切な物………


私はもう一度それを見つめて

笑顔で二人に言った。

「ありがとう。」


続く→
作品名:白い日記帳 作家名:雄麒