白い日記帳
第10話 幸ちゃんの…
4月7日
今日から高校生。
すごく楽しみ。
友達出来るかなぁ?
去年の一年間。
ものすごく辛かったが、
私は何とか高校生になることが出来た。
もちろん二人と同じ高校。
「今日からまた一緒に学校行けるね。」
二人の顔を交互に見て、私は笑う。
「あぁ本当に大変だった。俺が。」
冗談めかしたみっちゃんの言葉。
「私が一番頑張った。」
ふふんと鼻を鳴らして、胸を張った。
「言ってろ。」
みっちゃんが笑う。
「ねぇねぇ、それよりどう?」
私は両手を広げて、その場で一回転をしてみせる。
「何が?」
みっちゃんがキョトンとして言うから
私はガッカリして、頬を膨らませる。
「似合ってるよ。入学おめでとう。」
少し笑って、幸ちゃんの言葉。
「ありがとう、幸ちゃん。
私ブレザー初めてだから、めちゃくちゃ嬉しい。」
「制服の事かよっ!!」
後ろでみっちゃんが、ギャーギャー言ってたけど聞こえないふり。
そんなくだらないやりとりも楽しくて笑顔になる。
「それより、今日の帰りにどっか寄っていかない?」
私の問いに二人は一瞬顔を合わせて、困った顔。
「あー、俺……ちょっと野暮用……。」
そう言ったのは、幸ちゃん。
「………よっしゃ!じゃぁ俺が付き合ってやるか!!
芹那の入学祝も兼ねてな。」
少し慌てた感じで、フォローするみっちゃん。
「え、うん。じゃぁ帰りにね。」
二人のおかしな態度。
その時の私は特に感じ取れていなかったと思う。
その日入学式を終えて、
短いホームルームをして、そのまま解散する。
「みっちゃ〜ん。お待たせ。」
下駄箱の前で立っていたみっちゃんに駆け寄る。
あれあれ……?これってデートみたいじゃない?
自分で考えて、顔が赤くなった。
「おう、じゃぁ行くか?」
そう言って笑ったみっちゃんに私も笑顔を返す。
「あのさ……。」
会話の途切れ目。
神妙な面持ちで口を開いたみっちゃん。
「何?」
「その………貴幸なんだけど……
あいつさ……彼女が出来たみたいで……
つまり……前みたいに三人で帰る事出来無そうだって…。」
しどろもどろになりながら、みっちゃんが言う。
「幸ちゃんに?そっかぁ〜、どんな人だろう?見てみたいね。」
私も嬉しくなって笑った。
「それなんだけどさ、芹那はこの事知らない事にしといてくんねぇ?
貴幸本人の口から聞くまでは。」
「そっか……やっぱ恥ずかしいしね。判った。」
笑顔で返す私。
じゃぁ………
みっちゃんと二人きりだ………
なんて…喜んだ私は…悪い子でしょうか……?
それから幸ちゃんは、私に報告する前に
彼女さんと別れたらしい。
幸ちゃんがフリーの時は
三人で帰る事もあったが、
大半はみっちゃんと二人だった。
幸ちゃんは、いろんな人と
別れては付き合ってを何度も繰り返していた。
大丈夫なのかな?幸ちゃん……
長く続く人と巡り逢えればいいのに………
続く→