白い日記帳
第9話 猛勉強
みっちゃんと幸ちゃんが中学を卒業して
私も三年生になった。
二人は無事に高校に合格して
同じ高校に通っていた。
去年より少しだけ合う回数が減ったけど
これも試練。
頑張って勉強して
二人と同じ高校に行くんだ。
「はぁ〜判んない。」
勉強に行き詰ると、私はベランダに出て
みっちゃんの部屋の窓を見つめる。
部屋にいる時もあれば、いない時もある。
今日はどっちかな…?
なんて思って…小さな声でその名を呼んだ。
「み〜っちゃん……。」
聞こえるはずの無い私の声。
不意に開いたみっちゃんの部屋の窓。
私は驚いて、その場に固まってしまう。
「おう。芹那。勉強進んでるか?」
みっちゃんの声で我に返って、慌てて口を開く。
「ぼ…ぼちぼちかな?」
「ふーん。何だ。呼ばれたような気がしたけど、気のせいか。」
そのみっちゃんの言葉に、私の心臓が一つ脈打つ。
だって……聞こえるはずが無い……
嬉しい気持ちと、切ない気持ちが
ごちゃ混ぜになって、目頭が熱くなる。
みっちゃん……淋しいよぉ……
もっと……一緒にいたいの……
叫びそうになる想いを堪えて俯いた。
「芹那……。」
心配そうなみっちゃんの声。
私は慌てて顔を上げる。
「何?」
無理して作った笑顔。
お願い…気付かないで……
お願い…夜の闇に隠して……
「こっちくるか?」
「え……?」
やっぱりバレちゃうか……
みっちゃんだもん……
それでも嬉しくて『行く』と即答。
気まぐれでもいい……
同情でもいい………
今はその優しさに……甘えさせて……
続く→