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壇上のNovelist 2ndシーズン

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第22話 リベンジ(雫)
「雫ぅ〜〜〜。」
「なぁ〜に〜?」
居間から私を呼ぶようちゃんの声に、大きく返事を返す。


「ちょぉ、こっち来てみぃ。」
身を乗り出して手招きをしているようちゃんに気付いて
食器を洗っている手を止めて、居間に向かった。

「何?」
パラパラと雑誌をめくっているようちゃん。


「明日、休みやろ?」
そう聞かれて頷いた。


「ほんなら、明日出掛けようや?」
「明日?」
「おう。こないだのデートの仕切りなおしってやつ。」
ニコニコ笑顔のようちゃんに、私は不安の色を隠せない。



あの事故から、一ヶ月弱も経つのに……
未だに少し不安。

ようちゃんはあんまし気にしてないみたいだけど……


「んな難しぃ顔すなや?」
眉間に皺を寄せて考え込んでいた私に、笑いながらそう言った。

「だって……。」
「大丈夫やって。不安ならずぅっと手ぇ握っといたるゎ。」
「うんvv」





翌日――――。

二人では久しぶりの外食。
お昼ご飯を食べて……
ようちゃんに連れて来られた場所は………?


「映画館?」

「昨日見とった雑誌に、今日が初日の映画あってん。
かなり昔に出た映画の続編やねんけど…。」


  こんなにウキウキとしたようちゃん……初めて見るかも……?


「ダメか?」

   心配そうに見てくるから………。

「ううん。いいよ。」

   何となく嬉しくなった。



二人で映画館に入る。

「ようちゃん……。」
「ん?」
チケット売り場に向かおうとしているようちゃんを、呼び止めた。

何となく………嫌な予感がして………

「雫?」

「もしかして………これ…見るの?」
さっきから大々的に告知しているポスターを指差した。

「せやで?」
  当り前の様に言うから……

「ヤダ。ぜ〜ったいヤダっっ!!」
  だって……これ怖いのじゃんっっ!!

「何でぇな?」
情けない声で、戻ってくる。

「怖いのは嫌……。」
「ホラーとちゃうよ?ミステリーやし。」
「どっちも一緒だよっっ。」
大きく首を振って反対する。


「ヴーン。」
ようちゃんは眉間に皺を寄せて、考え込んでいる。


「あっ。せや、今日は俺の回帰祝いっちゅー事で………。」
ニコニコ笑顔のようちゃん。
「ヴーーー。」




………で。
結局ようちゃんの見たい映画を見る為に、席に座っていた。

(だって……あんな風に言われたら……。)
背もたれに体を預けて、ため息をつく。


「雫?ほれ。」
買ってきたジュースを渡された。
「ありがと。」



   ビーーーーーーーーー。

映画が始まって、真っ暗になる。

予告の時点で本気で泣きそうになってくるから…………
肘掛にもたれ掛かっている、ようちゃんの洋服の裾をぎゅっと掴んだ。


(……………!?)
それに気付いたようちゃんが、包み込むように手を握ってくれて………。
さっきと違うドキドキがする。




それでもやっぱり怖いものは怖くて……
映画が終わる頃には、グッタリしていた。

初デートは散々で………
大満足そうなようちゃんを余所に………

  もう二度と見ないっっ!!と後悔だらけの私でした……(泣)


続く→
作品名:壇上のNovelist 2ndシーズン 作家名:雄麒