壇上のNovelist 2ndシーズン
第42話 どっちが先輩!?(雫)
何やら朝早くから、ようちゃんが本ちゃんに会いに行った。
私も行くかどうか聞かれたけど、
睡魔に負けてようちゃんを送り出したのが、数十分前。
頭が再び眠りに入ろうとしたところで
携帯の音で目が覚める。
「うー、もしもしぃ?」
画面を見て、無理やり頭を起こして電話に出る。
『あっ雫?ごめんね、寝てた?』
「大丈夫。どうかした?」
『こないだのね…本ちゃんの事なんだけど…。』
「うん。」
『理由がわかったの。』
「何だった?」
『えへへ。昨日本ちゃんがこっちに来てくれたの。』
「えっ!?こっちって、新潟に?」
『うん。』
「ほえ〜、本ちゃんやるぅ〜。良かったね、実希。」
一気に眠気が覚めて、カーテンを開ける。
『それでね…雫に聞きたい事があるんだけど…。』
「何?」
『その……ね/////』
実希は言いにくそうに、電話の向こうでモゴモゴ。
「実希?」
『あの……ね/////一緒に過ごした次の日の朝って…
相手の顔見るのって恥ずかしいもの?』
「朝?」
少し考えて記憶を辿る。
「あんまし恥ずかしくは無いかなぁ。どっちかって言うと嬉しい?」
『そっか〜。せっかく来てくれたのに、
恥ずかしくてまともに顔見れずに別れちゃったから……。
やっぱり毎日一緒だと平気なのかな〜。
………でも…毎日してる訳じゃないんだよね?』
「してる?何を?」
『えっ/////そんな事言えないよ/////』
「何でぇ〜?」
『………?』
電話の向こうが一瞬無音になる。
『ちょ……ちょっと待って!?
雫…西条さんと…まだなの?』
「だから何が?」
あやふやな返事ばかりで、実希が何を言いたいのかよくわからない。
『だから……その……………エッチ?/////』
「え………?」
いつもより長い時間呆気に取られて、遅れに遅れて顔が赤くなる。
「っ/////!?何言ってるの!?まだだよぉ/////」
『えぇぇぇぇぇっ!?だってもう一年近く一緒に暮らしてるよね?』
「そうだけど………っ!?じゃぁ…実希……もう…!?」
『いやっ!それはもういいよ!?
それよりも、雫の方は大丈夫なの?西条さんとか…?』
「ようちゃん?」
今までそんな事考えた事なくて……
一緒にいられればそれで良かったし……
でも……
ようちゃんはどうなんだろう?
あたしって……そんなに魅力ない?
そういえば…キスだって数える程度しかしてない……
『雫がそんなだから…西条さんも我慢してると思うよ?』
「そんな?やっぱりあたし…魅力ない?」
『そう言う事じゃなくて、雫が気付いてないだけで
西条さんはきっとわかってるよ。』
「じゃぁ……どうすれ……
言いかけた言葉の後ろから、電話越しに声が聞こえた。
「実希?今舞台?」
『うぅん。今日は練習。もう休憩終わりみたい。』
そう言って電話の向こうで『今行きます』と言っている。
「じゃぁ切るよ。頑張ってね。」
『あっ……雫……大丈夫?』
「えへへ。何とか?」
心配させないように笑う。
『また終わったら電話するから、雫もあんまり考えすぎないでね。』
「わかってる。実希も頑張ってね。」
『うん。』
そう言い合って電話を切る。
ベランダに出ると、少し肌寒かった。
続く→
作品名:壇上のNovelist 2ndシーズン 作家名:雄麒