壇上のNovelist 2ndシーズン
第41話 壁の向こう側(遥)
週明けの朝十時。
新潟から戻ってきたばかり(であろう)本山に
呼び出されて、ファミレスにいる。
(自分から呼び出しといて遅れるて…どないやねん)
眠い目を擦りつつ、コーヒーを頼む。
雫は……というと…
『眠いから行かない』と言っていたので
未だにベッドの中やろう…
「おぉ〜。おはよーさん。」
朝っぱらだというのに、やたらとテンションの高い本山が登場。
「んー。」
曖昧に挨拶を返す。
「あっお姉〜さん、俺朝食セット〜。」
席に着くなり、笑顔で注文。
「めっちゃ浮かれてるやん。」
「そうか〜?」
言ってる傍から、うっとおしい程の笑顔。
「その様子なら、うまく行ったみたいやな。」
「せやね〜。当初の予定通りカッコ良くは決まらんかったけど
実希も喜んでくれたし、作戦大成功やね。」
「良かったやんか。」
…………って!?
今……『実希』って……?
こないだまで『実希ちゃん』言ぅてなかったか?
「呼び方変えたん?」
そう聞くと、ぐふふと気色悪い笑い声がする。
「実希がそう呼んでて言うから/////」
「へーーーーー。」
半分呆れ顔で、俗に言う惚気を聞く。
「んで?また早く帰ってきたなぁ?
一昨日の夜やろ?こっち出たん?」
「実希が今日練習やってん。
せやから今日の朝ギリギリまで一緒におって、今帰ってきたんよ。
あぁ〜俺も今日バイト無ければ…あっちの劇団に顔出せたのにな〜。」
悔しそうに言う。
「はぁ〜もう、幸せそうで何よりですゎ。」
からかい口調で言ったはずなのに、
次の本山の言葉で、俺はもう一度唖然とする事になる。
「そうそう。めっちゃ幸せやで。
朝起きて、隣で寝とる実希を見る時は、
ホンマ幸せやぁ〜って思うわ。」
「隣で寝てる?」
思わずそう聞き返す。
「え?」
何の事かわからない本山も、不思議そうな顔。
「一緒に寝たんか?」
「せやで?」
「一緒に寝ただけか?」
「/////!?」
顔を赤くした本山を見て、俺は全てを悟る。
「それは……聞かんといて/////」
その後も散々惚気を聞かされて……
本山はスッキリとした顔で、バイトに向かって行った。
その後姿を見つめて、ショック大の俺……
なんやかんやで、向こうはちゃっかり恋人らしくなっとる
それに引き換え俺らは……
よぉ考えると、一緒に住み始めてもう時期一年やん
最初はそんなつもり無かったにしろ
俺……よぉ頑張ってるな………
やけど……
雫と金折じゃぁ…違いすぎるやろ?
雫は『鈍』やからなぁ……
大きくため息をついて、歩き出す……
家に帰る足取りが……少し重い………
続く→
作品名:壇上のNovelist 2ndシーズン 作家名:雄麒