小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

壇上のNovelist 2ndシーズン

INDEX|14ページ/28ページ|

次のページ前のページ
 

第33話 心の傷(瀬)
  あぁ……どこで間違えたんだろう……?

  こんなはずじゃぁ……

口の中で血の味が広がって、呆然とする。




昼休みの終わるチャイムが、耳の奥の方で聞こえて……
少し体を起こして、壁にもたれかかった。


朦朧とする頭で、考えを巡らせた……


  何で……?

  どうして……?

そんなことばっかり頭を駆け巡って………






戸谷先輩を初めて見た舞台――――。

俺は学校に入りたての一年だった。
照明関係の仕事がしたくて入った学校……


だけど……
あの日…戸谷先輩を見て………

あんな風になりたい……
あの人と同じ舞台に立ちたい………

そう思ったんだ……


それから必死で演技の勉強をして……

やっとの思いで……あなたの元へ………




だけど……
先輩はあの日よりも、ずっと綺麗になってて………

死ぬ思いで頑張って、ここまで上ってきた俺を……
引き離すように……あなたは…また上へ………






  ガチャッ

どれ位の時間が経っただろう?
入り口の扉が開く音がして、ゆっくり顔を上げる。


「……本…山先輩………。」
ゆっくり近づいてくる先輩。

「お前…自分が何したか、わかってんのか?」


  わかってますよ………

  自分でやってきた事です………


「何が言いたいんですか?」
もう一度殴られる覚悟で、そう聞き返す。



目を閉じて歯を食いしばっても、一向に来ない痛みに目を開ける。

睨みつけたまま動かない本山先輩。


「もう一度殴りに来たんじゃないんですか?」

「殴られたいんか?」
そう聞かれて、言葉に詰まる。





「痛ぃやろ?」
少しの沈黙の後に、そう聞かれて………

「そうですね………。」
乾いた笑いが込み上げる。

「痛ぃはずや、それだけの事をお前はしたんやからな。」



  あぁ……痛いですよ……

  男の拳で殴られた右頬よりも………

  小さな手で叩かれた左頬の方が………

  火傷したみたいに……ヒリヒリして………

心臓の辺りがギュッとして、思い出した様に涙が流れ出た。

「……何で………っ………くっ………。」



  あぁ………どこで間違えたんだろう………?

  どこで道を踏み外してしまったんだろう………?


  あなたを傷つけるつもりじゃなかった………

  傷つけたかった訳じゃなかった………



  ただ…………

  あななの隣にいたかった…………

  あなたと……同じ舞台に立ちたかった…………


続く→
作品名:壇上のNovelist 2ndシーズン 作家名:雄麒