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壇上のNovelist

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第8話 同棲!?(遥)

何でかよぉ分からんけど…今俺ん家におるこいつ…。
せやけど…あのままほっとく訳にもいかんやろ?

ホットコーヒーを渡しながら、ちらっと見る。
(何や…捨て猫でも拾ぅたみたいや…。)

親の話をした時に、めっちゃ泣きそうな顔しよった…。
今の状況を深く聞いていいのか分からんくて、言葉が出てこん。


「あたしね…。」
コーヒーを飲みながら、小さい声で話し始めた。
「あたしのお母さん…あたしが17の時に死んじゃったの。」
それを聞いて、泣きそうな顔の意味に納得する。

「おとんは?」
「お父さんは…?よく分かんない。気がついたらいなかったし?」

何故急に話す気になったんかは、分からへんけど…何となく嬉しかった。
「ほんなら、一人暮らしか?」
こくりと頷く。
「ほんで?追い出されたん?」
もう一度頷く。

「あて…行くあてあるんか?」
少しためらったが、首を横に振った。

「……。」
「……。」
部屋中がしーんとして、沈黙が続く。

「なら、次んとこ決まるまで、ここにおればえぇやん?」
言っていいものかどうか迷った末に、言った。
同情なのか… 乗りかかった船なのかは、よぉ分からんけど…ほっとけへんし…。

「でもっ…。」
言いかけてやめよった。

「このままやと、困るやろ?
俺と住むん嫌やったら、すぐ見つければえぇし…。」
「でも…西条さんが…。」
また下を向く。

「俺は構へんよ?こっち来たばっかりで、連れもおらんし…。」
あぁ〜。何必死に引き止めてん?
こんなんじゃめっちゃ軽い男、思われるやん?
何て思ったのも後の祭り…。
驚いた顔をして、こっちを見ている。

「ツレ…?」
そう不思議そうに言うから、笑いが込み上げてくる。
「友達の事やで?」
笑いを堪えながら、そう言った。

「…?でも本ちゃんのお友達なんですよね?」
「本ちゃん?…あぁ本山の事か?
まぁな。…って全然おらん訳やなくて、家に来る様な奴はおらんっつー事や。」
「そうなんですか…。」

再び…沈黙。
「どうするん?」
「じゃぁ…少しだけ…お願いします。」

  こうして妙な同棲生活が始まった。

とりあえず夜も遅かったので、今日はそのまま就寝。
(予備の布団買ぅといて良かった…。)
そう思いながら、布団を用意した。

お互い布団に入って電気を消した。

「あの…。」
真っ暗な部屋に、声が響く。
「ん?何や?眠れへんか?」

「…ご迷惑おかけします…。」
声が小さいんは布団を被っているせいやろう?
「気にすんなや。」
そう言っても、返事が返って来ないので、手元のライトを点ける。

オレンジのライトの下で、布団が定期的に上下しとった。
「何や。もぅ寝たんか…。」
(相当疲れとるんやなぁ…。)

バイトをしながら、劇団に通って…
17から一人…
「こんな小っこい体で、よぉやるゎ…。」
ベッドの上から覗き込む。

「…ぅん。」
ごろんと寝返りを打って、こっちを向いた。

びっくりしてドキドキ鳴ってる心臓を落ち着かせる。

あえて見ないようにして、再び布団に入る。

(俺、こんなおせっかい焼きや無いはずなんやけどなぁ…?)

いつまでも鳴り止まない心臓を不振に思う。
「俺…こいつん事…好きなんかなぁ?」
もやもやしながら、夜は明けていく…。

続く→
作品名:壇上のNovelist 作家名:雄麒