壇上のNovelist
第4話 再会…?
舞台の台本の期日が、思っていたより遅くて…
意外と余裕で仕事が進められた。
あれから何度か劇場の方に足を運んで
役者のイメージに合うように、シナリオを作っていった。
パソコンに向かって、今まで書いていたものを読み返す。
直しては書いて… 消しては書いて…
繰り返し… 繰り返し…
やるからには手ぇ抜くことは許されん。
「ふぅ〜。」
ある程度校正を終えて、一息つく。
「もうこんな時間か…。」
ふと時計を見ると、夜の九時…。
(今から何か作んのもめんどうやなぁ…)
何て思いながらも、腹の虫は正直で…
(たまには外食でもするか…)
フラッと外に出て、夜の街を歩く。
「…。何でやろなぁ…。」
店の目の前で、ため息をつく。
何故かあいつのおる店に足が向いた。
うぃーん(自動ドア)
「いらっしゃいま…!」
俺を見て目を丸くした。
「よぉ。」
「…いらっしゃいませ。」
明らかに膨れっ面。
「何や?客やぞ?」
笑いながら言った言葉に、余計にむすっとして席に案内された。
「ご注文お決まりになったら、そちらのボタンでお願いします。」
マニュアル通りのセリフ…
顔怖いで?(笑)
ボタンを押さずその場で、『とりあえずビール』と言われた。
何でわざわざ店に来るの?
行き場のないイライラが、お腹にたまる。
「お待たせしました!」
本当はあんまり会いたくないけど、
今日は人手が少ないから、結局私が行くことになる。
「ぷっ。何怒っとんねん?」
笑いながらそう聞いてくるので、無性にイラッとした。
「別に怒ってないです!」
強く言ってしまうのが、悔しい。
こうゆうトコロが、子供っぽいんだろうけど…
これは性格だから治らない。
大体…この人がシナリオライターって…
しかも私の好きな舞台の台本書いてるのも、この人らしい…。
何か、それすらも腹立たしい!
劇場で会うたびにからかってくる姿から、
あんな素敵な話書いてる姿が想像出来ない。
「あんま、見つめんなや。」
そう言われて、じっと見つめている自分に気づく。
顔がかぁっと赤くなって、目を逸らす。
「…俺に惚れんなや?」
にやにや笑いながらそう言った。
「ごゆっくりどうぞっっ!」
ガチャンとジョッキを置いて、その場を離れた。
(悔しいっ!!あたしの事からかってるんだ!!!
子供だからってバカにしてっ!)
続く→
作品名:壇上のNovelist 作家名:雄麒