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壇上のNovelist

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第3話 思わぬ仕事(遥)

前回の仕事が大きかったせいもあって、久しぶりの休日。
こっちに出てきたばかりなんで、顔見知りもそぅおらんくて、家でうだうだと過ごす。


プルルルル〜
けたたましく鳴る携帯に驚きながらも出る。
「はい?」
『おっ。西条か?俺や、俺。わかるか?』
久しぶりに聞く、同級生の声。

「わかるか?て…お前コレ携帯やぞ?ディスプレイにめっちゃ名前出とるやんけ。」
『そっか。そっか〜。
いやぁ〜、久しぶりやなぁ。こーやって電話すんのも。』

そう言えば高校卒業と同時に、こっちに来とったな。と思い出す。
『なぁ。西条、今日ヒマか?ちょっと出てこれへん?』
「ん〜。まぁ、暇っちゃー暇やけど…。何や?仕事の話か?仕事なら受けへんで?」
『そんなんどっちでもええやん。ちょぉ、出て来いや。今渋谷におんねん。
一時間くらいで来れるか?着いたら電話くれや。したら迎え行くゎ。』
とんとん拍子に話が進められて、断るにも断れんやんけ(笑)

まぁ…久しぶりやし、ええか。
「わかった。わかった。行けばええねやろ?三十分くらいで着くゎ。」
『まじ?ありがとぅ。じゃぁ後でな。』


本山 広樹(もとやま ひろき)
中学からの腐れ縁で、高校卒業までよぉつるんどったな。
二人で会うんは、卒業以来やから… … … 何や、もう八年か?

(俺も年とったなぁ。)
苦笑いをしつつ、軽く身支度を整えて家を出た。


「おぉ〜。西条〜、こっちや〜こっち。」
俺を見つけて、大きく手を振る。
人込みから頭ひとつ分出とるんやから判るゎ。

「よぉ。久しぶりやな。何や、本山また背ぇ伸びたんかいな?」
「ん〜。そうやなぁ。もうじき190行くんちゃう?ドアの上んとこに頭ぶつけそうになるし。」
「まだ伸びんの?成長期終わってるやろ?」
「お前かて、ちったぁ伸びてるやん?」
「いつの話やねん?俺は大学卒業からちっとも変わらんゎ。」

大笑いしながら、近くの喫茶店に入る。
朝食がまだやったんで、軽く食う。


「ほんで…?」
会話の切れ間に、本来の話を切り出させる。
「ん?」
「ん?やあらへん。何か言いたい事あんねやろ?」

「…。やっぱお前には、かなんなぁ。」
少し申し訳なさそうに、頭を掻く。
「実はな…お前に折り入って頼みたいことあんねん。」
「何や?」

戸惑いながらも、やっと口を開く。
「…舞台の台本書いてくれへん?」
「舞台?」
「せや。今、俺劇団に入っとるんやけど…そこの劇団でいっつも台本書いてくれた人が
急な仕事で書けんくなってん。本番の日ぃも決まってんのに、台本ないから
皆でどないしよう?って話やねん。」

「う〜ん。そうやなぁ…。」
次の仕事も決まっとるし…
今連載の方の仕事もあるし…正直つらいなぁ…
でも旧友の頼みやしなぁ…。

少し考えて黙りこんでいると…
「ほんなら、一度劇団見に来てや。すぐそこやねん。
役者とか、雰囲気とか見てダメそうならそこで判断してくれてもええし。」
あんまり必死な姿を見て、とりあえず今から劇団に行くことになった。


「じゃぁ〜ん。ここやで。」
じゃぁん。と言えるような劇団では無いが
嬉しそうな本山の姿を見て、ホンマにここが大切な場所なんやなと思う。

案内されて、広いホール(練習場所?)に着く。
ホールのあっちこっちで、役者が発声をしていた。

  バタンッ
乱暴に開けられたドアの先を見て、動きが止まる。

(ん?あれは?)
ドアの先には、昨日の居酒屋の店員。

「なぁ。本山…あいつも役者なん?」
顎で示した先を見て、本山が言う。
「あぁ。雫ちゃん?せやで。まだ入って一年目やけど、ちっこいなりに頑張ってんで?」
「へぇ。」
「あっ。小さい言うたの秘密な。言うとめっちゃ怒んねん。」

だからあんなに怒ったんか…。
口元が緩む。


それから団長と話して、少しだけ練習風景を眺めてた。
本山が役者してんのも、笑えるし…

そして…
その脇でちまちま動いとる、あいつがおもろい。
何も無いとこでこけたり…
まれに見る『鈍』やな…


休憩の合間に本山が駆け寄って来た。
「ごめんなぁ〜。せっかく来てもらったのに、ほったらかしで…。」
「ええよ。」
そう言った俺に、飽きたら声かけてや。と言ってくる。

「…本山。あんまし乗り気や無かったけど…この仕事受けてもええで。」
少し躊躇ったが、そう伝えた。
「ほ…ホンマに?まじ?めっちゃありがとぅ!!」
飲んでいたお茶を吹き出す程、テンション上がりすぎて言葉遣い変になっとるし(笑)


「あっ。じゃぁ団長に言うてくるゎ。ちょっと待っとってな。」
バタバタと来た道を戻って行った。


その後。正式に団員に紹介されて…
メインの役者と、大まかな仕事の役割分担を聞いた。
俺を見た時の、あいつの顔がまたおもろくて…
めっちゃ眉間に皺よってん(笑)

続く→
作品名:壇上のNovelist 作家名:雄麒