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壇上のNovelist

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第17話 半年記念日(遥)

こないだ本山と飲んでから…一週間…
どうやら今回の舞台も無事千秋楽を向かえたみたいで…
また平凡な日々が始まる。

俺の仕事も慌ただしくは無いので、結構時間に余裕があった。

「明日からバイト無いんやろ?」
出勤日は把握済みやのに、確認のために問う。
「うん。久しぶりのに三連休〜。」
相変わらずの笑顔に口元が緩む。

「ほんなら、たまにはどっか行くか?」
「えっ!?」
驚いて読んでいた雑誌の手を止めた。

「どっか連れてってくれるの?」
雑誌を置いて、近づいてくる。
「俺も久しぶりに体空くからな。」
「ホントにv」
嬉しそうな顔を見て、言ぅて良かったと思う。

「どこ行くの?」
「どこでもえぇよ。雫の行きたいとこで。」
そう言ぅてやると、頭を抱えて悩んどった。

「…う〜ん。…!?じゃぁ温泉!!」

  温泉て…
「以外に渋いなぁ。お前の事やから遊園地とか言ぅ思てた。」
「い…いいの!温泉で!!疲れを癒しに行くのだ〜。」
「まぁえぇけど…。三日しか無いんやから、近場やで?」
「全然OK〜v」


雫が部屋で準備をしている横で、パソコンを開く。
「ようちゃん?何してんの?」
画面を覗き込んで来る。

「ん〜、どっかえぇトコ無いかな〜思て…
何も下調べせずに行って、泊まるトコ無い…じゃガッカリやろ?」

「ほぇ〜。こんなんで探せるの?」
興味津々で画面を眺める。

キーワードを入れて、検索をするといろんな宿が出て来た。
「わっ?わっ!?すごぉい!!便利だね〜!!」
  いつの時代の人やねん(笑)

少し興奮気味の雫を椅子に座らせて、操作の説明をしてやる。
「ここでスクロールして…合わせてクリックすると、詳しい説明見れんで?」
言われた通りに操作をしては、歓喜の声を上げよる。

「あっ。ここっ!ようちゃん、ここは?」
あるページで目を輝かせながら聞いてくる。

  都心からもそんなに離れてへんし…

「えぇんちゃう?」
「じゃぁここっ!」

「嬉しそうやなぁ?」
始終テンション上がりっぱなしの雫を見て、しみじみ思う。

「嬉しいよぉvあたしこーゆー旅行とかって、初めてだもんv」

「高校卒業して…働くようになったら、お母さんに連れてってあげるね…って言ってたんだけど…。」
そこまで言って言葉を詰まらせる。
胸の辺りがギュッとして、思わず抱きしめそうになるのを堪える。

「ほんなら、お前が一人前の役者になったら、俺を連れってくれや?」
下を向いている雫の顔を覘き込む様にして、言ってやると…
少しだけ目に涙を溜めながら、笑顔で『もちろんっvv』って…

  今は…恋人で無くてもえぇゎ…
  親代わりでも何でもしたる…
  雫の笑顔が見れんねやったら…な…

続く→
作品名:壇上のNovelist 作家名:雄麒