Happy Suggestion
第6話 悪夢の始まり
ピンポーン
自室のインターホンが鳴って、ゆっくりと扉を開ける。
「…………。」
扉の前には、目を真っ赤に腫らせた桜花が立っていた。
「どぉぞ。」
部屋に通そうと、手を差し出す。
「返して下さい。用事はそれだけなんで。」
桜花はヒロキと目を合わせる事無く、手を伸ばす。
「あんたも変わってるね~、そんなに来たく無いなら
定期くらい諦めればいいのに。」
2本の指で定期を持って、見せ付ける様にして言った。
「あなたの手元にあるのが嫌なんですっ。
それに………大切な物なんで………。」
「大切な物ね~。写真でも入ってんの?」
ヒロキはワザとらしく大げさなアクションで中を覗き込む。
「っっ!!返して下さいっ!!」
中を開ける前に奪われたそれは、音を立てて床に落ちる。
といっても………
昨日……中を見た………
裕人と二人で撮ったポラロイドが入ってた………
写真の中の二人が……
幸せそうに……笑ってて………
バタンッ
ヒロキは扉を閉める。
定期を拾って振り返った桜花の顔が、見る見るうちに青ざめていく。
「どいて下さいっ!!」
「あんたもつぐつぐ馬鹿だね~。帰れると思ってたの?」
扉の鍵を閉めて、薄暗い玄関の明かりの下で笑う。
「…………っ!……きゃっ……ドサッ
後ずさりをした桜花が、玄関の段差に躓いて後ろに倒れこんだ。
「………何………で………?こんな………?」
カタカタと震える桜花の口を、片手で覆ってそのまま床に縫い止める。
桜花の目からは、我慢出来なくなった涙が溢れ出している。
「あんたみたいなの見てると、イラつくんだよっ!!」
桜花の服に手をかけて、そのまま引き千切った。
「っっっっっ!?ん~~~っ!!!」
抵抗し出した両手を一つにして、もう片方の手で縫い止めた。
口を覆っていた手を離して、ゆっくり下に下ろす。
「ヤダっ!ねぇ!やめてっ!?冗談でしょう?」
泣いて懇願する桜花に、笑って自身をあてがう。
「っっっっ!!痛っ!ヤダっ!!」
まだ慣れていないのを承知で、最奥まで沈めた。
「ヤダっ!!!わぁぁぁぁっ!!」
情事の後………
桜花に手近にある服を渡した。
「さすがにそれじゃぁ、帰れねぇだろ?」
桜花の虚ろな目に、引き裂かれた洋服が映る。
「………っ。………ぅっ…………。」
洋服を握り締めて、泣き続けている。
「散々泣いて、俺だけが悪いみたいじゃん?」
ペットボトルの水を口にしながら、ヒロキが近づいてくる。
「あんただって嫌がってた割には、気持ちよさそうだったし?」
パンッ
桜花の手がヒロキの頬を叩く。
「くくくっ。じゃぁね。また来週の水曜に………。」
続く→
作品名:Happy Suggestion 作家名:雄麒