小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

Happy Suggestion

INDEX|5ページ/22ページ|

次のページ前のページ
 


第3話 桜花
あの日…話をした後……
裕人は本当に自分の彼女を店に連れて来た。

もちろん裏口からとはいえ……こんな店に良く連れて来れたものだ……。




「ヒロキさん。」
ロッカールームで、裕人に声を掛けられる。


「おぉ……って?どちら様?」

裕人の隣にいる女性(と言うより女の子という方が合ってる少女)を見て、
いつもの愛想笑いをする。


「こないだ言ったじゃないっスか?俺の彼女っスよ。」
少しだけ頬を染めて、照れ笑いをする裕人。


「初めまして、天倉 桜花です。」
にこっと笑った笑顔と声が、外見に似合わず落ち着いた感じがする。

「あぁ……。」
二人を見て、そんな言葉が零れた。

「『あぁ』ってもっと何か無いんスか?『可愛いな』とか
『お前には勿体無いな』とか?」
冗談交じりに笑う裕人。

「自分で言うなよ。」
つられてヒロキも笑う。



二人の姿………会話を聞いていると………
ここが『Goddess Fountain』である事を忘れそうになる………

ドス黒く………そして煌びやかな世界には……
似ても似つかない二人…………



「じゃぁ俺、彼女送ってくるっス。」

遠くを見る様な目で、ボンヤリとしていたヒロキは
裕人の言葉で我に返る。

「あ……おぅ。」


ドアに向かった裕人の後ろから、会釈をする桜花を見送って……

俺は店に出た。





「ヒロキ~vv」

店を出た途端に、指名が入る。


「ようこそ…Goddess Fountainへ……」

そして…俺は壊れたラジオの様に、同じ言葉を綴る。


笑顔を振りまいて………

嘘を付き続ける………


『今日も素敵ですね。』
『俺にはあなたが必要なんだ。』
『君が好きだよ。』


  俺は………
  これでいいんだ………


  俺は………
  これがいいんだ………


言い聞かせる様に、頭の中で何度も繰り返す。


続く→

作品名:Happy Suggestion 作家名:雄麒