Happy Suggestion
第15話 告白
その夜……
家に帰ると桜花の姿が無かった………
家中を探したが、やはり何処にも見当たらなくて………
慌てて外に飛び出す。
あいつの家は………? 知らない………
友人は………? 知らない………
唯一知っているのは、携帯の番号のみ………
頼みの携帯からは、電源オフのアナウンスが入るのみだ………
ヒロキは行く当てもなく、駈けずりまわる。
「はぁ……はっ……」
散々走って……道行く人に聞きまわって……
やっと見つけた桜花の隣には、見知らぬ男が立っていた。
「………っ!?何してんだよっ!!」
明らかに二人は顔見知りというような間柄じゃなく………
「えっ!?ぼ……僕は悪くないっ。この子が誘って来たんだっ!!」
軟弱そうな男は、慌ててその場から逃げて行った。
「バカヤロウっ!!お前っ何しようとしてたか、わかってんのか?」
桜花の肩を掴んで叫ぶ。
「これ以上……ヒロキさんに迷惑かけるのも………。」
桜花の瞳が水分を帯びて……
街の明かりで煌々していた。
ヒロキはその瞳に吸い込まれる様に、桜花の体を抱きしめた。
「………っ。俺だけに……しとけ………。」
抱きしめたまま呟く。
好きなだけ利用すればいい………
身代わりでも何でもいい………
欲しい物があるなら……買ってやる………
お前の欲しい物は……何でもやる………
宝石が欲しいなら………
お前の指に余る程の……ダイヤモンドを………
香水が欲しいなら………
お前よりも甘い香りの……香水を………
花が欲しいなら………
部屋いっぱいの花束を………
お前の欲しい物は……何でもあげる………
だから………
少しだけでいい……………
お前の心を…………少しだけ…………俺にくれないか…………?
続く→
作品名:Happy Suggestion 作家名:雄麒