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Happy Suggestion

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第14話 確信
桜花との半同棲が始まって、一週間………

最初よりかは幾分か落ち着いた桜花だったが
近頃は涙を見せなくなっていた。


だからといって、ヒロキにココロを許す訳でも無く………
ひたすら自分の殻に閉じ篭っている風に見える………



Goddess Fountainのロッカールームで、物思いにふけるヒロキの耳に
聞きなれた同業者の声と、この間聞いたばかりの先輩の声が聞こえてくる。

「沢村さんっ。どうかしたんスか?」
「おぉ。ちょっとな。紘稀の奴は?」
「ヒロキさんっスか?多分裏にいると思いますけど……。」



コンコン

律儀に沢村はノックをして、部屋に入ってくる。

「沢村さん……。」
ヒロキの顔を見た沢村が、苦笑いを浮かべる。

「お前……何っつー顔してんだ。」
「えっ!?」
ヒロキは慌てて鏡を見るが、何が違うのかわからない。


「…………。」
沢村は何も言わずに、ヒロキの横に腰掛ける。

二人の間に会話はなく………
扉の向こうのざわめきが、やけに大きく聞こえた。


「紘稀………。」

どれくらいの時間……こうしていただろうか?
沢村が口を開いた。

「紘稀…こーゆー職に就いてる奴が言う台詞じゃねぇが、
自分に嘘付くんじゃねーぞ。」
「え………?」
ヒロキは顔を上げて、沢村を見る。


「職業柄、いろんな奴に嘘付かなきゃなんねぇのはわかってる。
だけど……自分にだけは嘘付くんじゃねーぞ。

突っ張ってばっかじゃ、何も変わらねぇ。たまには素直になれや?」

「……沢……村……さん?」

戸惑いを隠せないヒロキに、満面の笑みで沢村が立ち上がった。

「それだけだ。じゃぁな。紘稀。」



一人残された部屋で………

沢村の言葉が繰り返される………



  そうだ………

  俺は……認めたくなかった………

  住む世界が違う………

  ましてや後輩の女………



  俺を見ないのは……あいつのせいだと思ってた………

  俺を……見ないなら………
 
  壊してしまえばいいと思った………

  
  だけど……違った………

  いつでも…………

  俺を……見て欲しかった…………


多分……………

最初に会った時から…………

俺は………あいつが……好きだった…………


続く→

作品名:Happy Suggestion 作家名:雄麒