Another Dream Another Story
第六夜 来訪者
拘束の身である俺は、地上に降りられず
殆どの時間を雑務に当てられた。
その間も多くの人間が……(ここでは魂と言った方が正しいのかもしれない)
……俺の傍を通り抜けていく。
こちらの世界に来る者は、それぞれ階級をつけられて、
今後の道を決められる。
大まかに言えば、天国か地獄かの二通りなのだが……
俺のいる場所来るのは、大抵罪を背負った者ばかりだった。
[ランク S] 今生で償いきれないほどの、罪を犯した者。
これは有無を言わさず、地獄行きだ。
[ランク A] 己の犯した過ちに気付き、嘆き・後悔した者。
これは審査に掛けられ、結果によって道が決められる。
ただしこのランクの者は、来世に生まれ変われたとしても
リスクを負って……という形になる。
生まれながらにして病と隣り合わせだった彼女は
前世……このランクだったのだろうか?
そして……
[ランク B] 不慮の事故や、不当の理由で命を失った者。
俺達の手によって、命を失った者は、大抵このランクに辿り着く。
このランクの者は、[S・A]とは違って
自分の道を自由に決めることが出来る。
地上を離れ……天国に行くも良し。
生まれ変わって……人生をやり直すも良し。
本人の意思に任される。
今日も多くの者が訪れる。
「今度……ちょっと変わった奴が来るらしいよ。」
別の案内人から、そんな話を聞いた。
そいつの話によると、名前は『カーム』
ランクは[BS]ランクらしい。
このランクの前例が無いわけでは無いが……
俺がこの仕事に就いて、結構経つが
実際に目にするのは初めてだった。
続く→
作品名:Another Dream Another Story 作家名:雄麒