Another Dream Another Story
第五夜 決行日
最後の日………
俺は沢山のライトの下に、横たわる彼女を見ていた。
数え切れないようなコードが、彼女の身体から伸びている。
彼女が細く目を開けて、
少し離れた所にいる俺に焦点を合わせる。
「……ラ……イ……」
消え入る様な声で、俺の名を呼ぶ。
今が……
今が……決行の時………
ゆっくり彼女に近づいて…彼女の顔を見た。
瞬間――――。
喉の辺りが圧迫された様な感覚に囚われた。
同時に両目が熱を帯びる様に痺れる。
今までに無い身体の変化に驚きながらも
約束の時は刻々と迫ってきていた。
そして……俺は彼女をこの手にかけた。
俺を見つめ、最後の力を振り絞るように言った彼女の一言。
「ライ………あなたで……良かった……………。」
そう穏やかに笑う彼女を見て
俺は初めて涙というものを流しながら、大声で叫んだ。
「死ぬなっ!死んじゃ駄目だっっっ!!!」
この俺の行動は罪になり、今は拘束の身。
後で聞いた話によると、彼女と交わした契約は
彼女の意思の問題だったらしい。
【誰かに生きる価値を認めてもらう事】
この『誰か』……いうのが
彼女自身だった……という事か………。
続く→
作品名:Another Dream Another Story 作家名:雄麒