Another Dream Another Story
第四夜 白の中で…
約束の日まで……あと一週間……
彼女の部屋とは違う、真っ白な空間に彼女はいた……
「起きていて平気なのか?」という俺の問いに笑顔で答えた彼女。
俺はこの時彼女の右手が、既に使え無くなっている事に気が付いていた。
無理して笑う彼女を見て、何も言えなかった。
こうゆう彼女を見ていると、胸の辺りがモヤモヤしてくる……
「ライ……?何か……辛そう。」
そう言う彼女を見て、眉間に皺が寄る。
「辛そう?」
俺には感情など無い……
今まで楽しい・悲しい・ましてや辛い等思ったことなど無い。
否定するように大声で叫んで、彼女の元を去った。
帰りの道中……
不意に不安がよぎって、来た道を戻る。
白の中に埋もれる様に眠っていた彼女の瞳から
涙が流れ出ていた。
俺は見ていられなくて、彼女を揺り起こす。
「何とか出来ないのか?」
そう言った自分に驚いた。
でも何とかしてやりたかった。
「これが… …私の運命ならば………。」
そう穏やかに笑う彼女に、俺の中で何かが変わる。
彼女でいっぱいだった頭の中が
一気にリセットされて、元の表情に戻る。
(もう…諦めるんだ……)
そう思った事に、疑問を感じる。
何を諦めるというのか?
自分自身を笑って、その場を跡にした。
続く→
作品名:Another Dream Another Story 作家名:雄麒