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Another Dream

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第5夜 ライの仕事


あの日からライは言った通り、毎日波穏の元に足を運んだ。
そうなると、必然的に二人の会話が増える。



「また起きているのか?」
波穏が外に出なくなって… …(出れなくなったと言った方が正しいかもしれない)
ライは夜中に来る事が多くなった。

「最近余計に眠れなくて…。」
心配を掛けまいと笑顔を作る。
と言ってもライが心配するかどうかは、定かでは無いが…。

「眠るまでここにいてやる…。」
そう言ってライは、ベッドの横に座り込んだ。


「じゃぁ何か話しよう。」
「くだらない…。いいから寝ろ。」
波穏の提案に間髪いれずそう答える。
渋々布団に潜り込む波穏。


それでもやはり眠れなくて、何度も寝返りを打つ。





「… … … …ライ… …?」
「何だ?」
聞こえないだろうと思って呟いた声に返事が返ってくる。

「… … …何でも無い… … …。」
ライに背を向ける様に、丸くなった。






「… … … …俺の… …羽を見ただろう?」
何の前触れも無く、ライが話し始めた。
「羽?」

「真っ黒に染まった羽だ… …。」

「染まった…?ってことは元々は黒じゃ無かったの?」
もう一度寝返りを打って、ライの背中を見た。

今は見えない羽…

「最初は…皆…白い羽だ…。
こちらの世界で言う『天使』の様なものだろうな…。」

「じゃぁライは天使なの?」
波穏の問いに笑いがこぼれる。
背中越しなので表情は見えないが…

よく考えるとライは最初に出会った日以来、笑顔を見せなかった。

「俺達の仕事は『魂の案内人』だ。
死んだ人間の魂を、あるべき場所へ誘導する事…。」

「私達が迷わない様に?」
「そうだな…。…それが正しい仕事。」

「正しい?」
波穏は少し眉間に皺を寄せる。


「中には別の仕事もあって… …

クライアントから受けたターゲットを、あちらの世界へ無理矢理連れて行く事もあった。
まぁわかり易く言えば、こちらの世界の『死神』の様なものか…?」
先程とは違う乾いた笑い。

「俺みたいな黒い羽を持つものは、後者だろうな…。」



「私も… … …死んだら… …ライみたいになれる?」
今まで背中を向けたままだったライが
振り返って波穏を見る。

「俺の様になりたいのか?」

「… … … …わかんない。」
波穏を見て、再び背を向けて同じ位置に座る。


「いいから… …寝ろ。」
ため息混じりにそう言った。


「おやすみ… …ライ…。」
ライの背中を複雑な瞳で見つめ…
小さく呟いた。

その後…今まで眠れなかったのが嘘の様に、引き込まれる睡魔に意識を手放した。


続く→

作品名:Another Dream 作家名:雄麒