失格ママの子育て
(痛いのはおかあさんじゃあないでしょ。赤ちゃんですよ、しっかりし
なさい。)と言われたっけ。4歳のときもそう。 保育園から帰って
家事をしてたら、(タックン、頭とおなか痛いよ。)と傍に来る。
(お熱かな?)体温計で計ると三八度二分(三八度二分あるね。明日
お休みになると大変だからお医者さんいこうか?)(うん)すぐ近く
の医院へ患者さんは誰も居なかった。診察室へ。(いつごろ 痛くな
りました?)(保育園から帰るときは言ってなかったので、すみません
子供に聞いてください。タックン、先生にお話できるよね?)(うん)
‐‐先生唖然とした顔で私をみて、息子に(いつ痛くなったのかな?)
(保育園から帰る前)(お熱は、いつから?)(うーん、わからない。
おうちで三八度二分だって、母ちゃん言ってた。)(おなかはこの辺
かな?)(違うーーうんそこ痛い。)診察終えて〔風邪だな。薬出す
から飲ませて暖かくして寝かせなさい。タックン甘いお薬のめるね?〕
(うん)〔息子さんいい子だよ。しっかりしてる、お母さん息子に負
けてるよ。大人なんだから、もう少ししっかりしなくちゃ。〕帰りな
がら〔先生にしかられちゃった。〕というと〔母ちゃん、タックンが
いるから大丈夫。〕ですって。その時から、はなこのときにも、あま
り成長ないですね。
第14章 まだまだ遠い、母になるには!
タックン小学一年の秋、バレエ団の時の友達の招待で、箱根の別荘に
泊りがけで行ったときの話しです。 学校には、家族のコミニューケ
ーションの時間を作るためにお休みしますと連絡。嘘はつきたくなか
ったし、子供にも負担をかけたくなっかったので、理由は正直に話し
た。 平日なので道路はすいていった。ついた日は、別荘の掃除と家
族だんらん。翌日富士へ登る。途中雪になったので、五合目から下山。
帰りに中華料理の食堂で食事する。 料金をレジで払い、みんなの後
を追って店を出る。〔奥さん!奥さん!〕とお店の女主人が、慌てて
追いかけてきた。立ち止まると〔奥さん、赤ちゃんを置いて、何処へ
行くつもりなの?〕 あっ、忘れてた!(あっ!すみません、わすれ
てた。)慌てて店に、ベビーカーに座って泣きもしないで、私の顔を
見て、笑いながら、両足をばたつかせているはなこ。
(ごめん、ごめん)と誤りながら、胸に抱く。女主人〔赤ちゃんを忘
れたお母さんなんて、この店のお客さんで初めてですよ。自分の娘を
忘れてどうするの!〕 面目ないやら、能天気な自分にあきれてしま
った。 店を出るとき出口まで送ってきた女主人の顔から、まだ不安
そうな表情は消えてなかった。又、失敗、母の道のりは遠し!まだま
だかかりそう、一人前になるには。
第15章 僕んち、貧乏?
学校から帰るなり、ランドセルを下ろしながら (かあちゃん、うち
貧乏なの?)とタックン。 (え?どうして?)(まこちゃんが、
遊びに行くところがないって言うから、うちへ来れば?て言ったら、
お前のうち何も新しい玩具がない貧乏人だもの、嫌だよ。馬鹿じゃな
いのって言われた。)(そうか。玩具はお下がりだもんね。お金がな
い、新しい玩具がないということが貧乏なら、うちは貧乏だよ。お母
さんは、お金がなくても、タックンと花子が居て、好きな仕事があっ
て、幸せだと思うし、貧乏だとも思わないよ。3回ご飯が食べていけ
ればいいと思ってるもん。それにおかあさん、人を馬鹿にしたり、
嫌なことをしたり言ったりする人は、心が貧乏な気の毒な人だと思う。
大人になって働けば、お金は入るけど、心はお金では変えないよ。)
(ふ~ん、そうか、まこちゃん可哀想だね。)(タックンは、選ばれた
んだよ。神様がこんなお母さんのところに生まれても、きっと大丈夫、
タックンならいい子で頑張れる子だって、お母さんとであわせてくれ
たんだ。神様が選んだ、それだけ素晴らしい子なんだよ。)
わかるかなあ・
第16章 友達のお父さん変だよ!
学校から、すごく興奮して帰ってくるタックン。大変な発見をしたかの
ように、早口で話す。(母ちゃん、あのね、友達のお父さん毎日おうち
に帰ってくるんだって!おかしいよねえ)そうなんです。タックンのお
父さんは、土曜日に来て、日曜日皆で遊んで、お父さんのアパートに帰
るのです。 これは、結婚した当初からの形なのです。二人が仕事をす
る上で一番ベストなので、子供が出来ても同じ状態を続けているので、
タックンはそれが普通だと、思っているのです。(タックン、あのね、
可笑しくないんだよ。お友達のお父さんは、会社にお仕事に行って夜は
おうちに帰ってくるの。タックンのお父さんとお母さんは、それぞれ
違うお仕事を持っているから、一緒に住まないの。きっと、タックンの
おうちが、珍しいと思うよ。)(へえ、そうなんだ。僕のおうちが、
特別なの?)(同じおうちもあると思うけど、すくないかもね。淋しい
かな?)(違っていいよ。日曜日に、四人で遊べるモン。)やれやれ、
ちょっと、がっかりしたかな?タックン。新しい発見に?
花子も、こんなこというようになるのかな?
花ちゃんは、スヤスヤ眠ってる。
第17章 三年生 春休みの二人旅!
私の仕事の都合がつかず、三年生の春休み、タックンの希望で、
一人広島のおばあちゃんの所に行くことになり、広島終点のひか
りのチッケトを買う。出発の朝、タックンと同じ様にリックサッ
クを、まねて少しの着替えを入れて、ハナちゃんもリックを背負
い、タックンの見送りに東京駅へ。新幹線に乗せ、席に着かせ
(本当に一人で大丈夫ね。)(うん、おばあちゃんが、駅のホー
ムに来るから、大丈夫だよ。)(周りの人の迷惑にならないよう
にね。)少し心配だが、之も勉強だ、と私自身に言い聞かせ、
ハナちゃんをつれて降りようとすると、二歳十一ヶ月の子とは思
えない力で、タックンにしがみついて、(ハナちゃんもいくー)
と言って大声で泣く。(ハナちゃん、お母さんのいないところで、
お留守番できないでしょう?)(ハナちゃん、出来るよー)いよ
いよ大声で泣く。(母ちゃん、僕つれていけるよ。花子、母ちゃ
ん居なくても泣かない?)(うん、なかない。)(母ちゃんとバイ
バイできる?)(できる。)勝手に二人ではなして納得している。
(母ちゃん、花子も大丈夫と言ってるから、僕花子を見るから。)
(新幹線の中、動き回らないように、おとなしくさせられる?)
(大丈夫、いつも僕の言うこと聞いてるよ、母チャンが仕事のと
き。) 思い切って、やらせてみよう。タックンを信用して。
(わかった。よその人の迷惑にならないように、がんばってね。)
二人元気に手を振って、出発していった。実家に電話すると大きな
母の雷が落ちた。六時間後、タックンとハナちゃんの無事ついたと
言う元気な声が、電話口から聞こえた。私が小学一年生のとき、