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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼第二部・第三回・参 かぼちゃっちゃ】

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「ふぅ…」
軍手をした緊那羅が腕で汗を拭い
「ん…しょっ」
サツマイモが入ったかごを持ち上げた
「緊那羅ー!!」
「慧光…と矜羯羅?」
「手伝うよ…」
小走りでやってきた慧光のうしろから歩いてきた矜羯羅
「あ…ならそっちのかぼちゃ持っていってほしいっちゃ」
「わかったナリ」
慧光が陳列されていたかぼちゃに駆け寄ると三つ腕に抱えた
「残りは僕が持てばいいんだね」
矜羯羅がしゃがむとヒョイヒョイとかぼちゃを持つ
「…お…重くないんだっちゃ…?;」
「重いといえば重いけど」十数個はあったかぼちゃを持った矜羯羅に緊那羅が聞く
「矜羯羅…力持ちだったんだっちゃね…」
「別に…」
スタスタと歩き始めた矜羯羅を緊那羅と慧光が追いかける
「うぉ!!; 大丈夫かよお前;」
戻ってきた京助が矜羯羅を見て驚く
「…んがら」
「持って」
京助と一緒にやってきた制多迦に矜羯羅がかぼちゃを差し出すと制多迦がヘラリ笑ってかぼちゃを受けとる
「…疲れた」
ため息をついた矜羯羅が肩を回しながら歩き出した
「あ…待ってくださいナリ!!」
慧光が駆け出す
「…きいくね」
制多迦もヘラッと笑って歩き出した
「…やっぱあれも宝珠の力なんかな;」
京助が呟く
「宝珠…」
緊那羅の表情が曇った

阿と手合わせしたとき宝珠をつけていなくて
こてんぱんにされた
宝珠がないとこんなにも弱い自分
こんなので京助を守れるのか
緊那羅が京助を見た
「…なんだよ;」
視線を感じた京助が緊那羅を見る
「な…っ;」
ハッと我に返った緊那羅が持っていたかごを落とした
「うぉ;」
「うわっ;」

ゴン

落としたかごから転がり出たサツマイモを拾おうとした京助と緊那羅の頭が勢いよくぶつかって二人して頭を押さえてしゃがみこんだ
「何してるの?」
戻ってきた烏倶婆迦が突っ込んだ


「…んがら」
「何」
「…いじょうぶ?」
矜羯羅に並んで歩く制多迦が聞く
「…大丈夫だよ…って…」
制多迦が矜羯羅を片手で抱き上げた
「かぼちゃと同じ扱い?」
「…や…違うけど」
片腕に山ほどのかぼちゃ
もう片方の腕には矜羯羅を抱えた制多迦がヘラッと笑う
「…ぼちゃより矜羯羅が大事」
「そう…」
矜羯羅が制多迦の肩に座ると制多迦の頭を抱え込んだ
「僕は…大丈夫…」
小さく言った矜羯羅
「制多迦様かぼちゃ落としてますナリ;」
あとからやってきた慧光が制多迦が落としていったかぼちゃを拾っていく
「…僕は落とさないでよ?」
矜羯羅がいうと制多迦がヘラッと笑った

「あー…痛ってぇ;」
「ごめんだっちゃ;」
デコを赤くした京助と緊那羅
「お前石頭なんなー…;」
「京助だって;」
「二人とも石頭」
烏倶婆迦が二人に突っ込む
「京助ー」
悠助と慧喜が手を振りながらやってきた
「まだ何か運ぶのある?」
「あとは…っていうか何で向こうから来たのにかぼちゃ持ってんだよお前;」
畑にこれから向かうはずの慧喜の腕の中にあった二つのかぼちゃを見て京助が聞く
「落ちてたんだ」
慧喜が答えた
「矜羯羅が落としていったんだっちゃかね?」
「あー…いっぺんに持ったからやっぱり落としたんか…」
ヘッと口の端をあげて言った京助に苦笑いする緊那羅
「義兄様…オデコどうしたの? 緊那羅も…」
慧喜が聞くと京助と緊那羅が顔を見合わせたあと
「ハッハッハ;」
何かを誤魔化すようにわざとらしく笑った