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エイユウの話 ~夏~

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「ああ、良かった。大丈夫?」
 声をかけていたのはキースだった。しかも彼はあまりにも反応しなかったアウリーを心配して、彼女を覗きこんでいたのである。間近にある想い人の顔に、そんな免疫のないアウリーは顔を高潮させて卒倒してしまった。
 これに一番驚いたのは、顔を見て倒れられたキースである。もともと心配していたが、タイミングというものがある。音を聞いた二人が喧嘩を中断して振り返ったので、彼は何もやっていないと慌ててしまった。混乱したキースはそのまま彼女を保健室に連れて行くことを進言する。
「とりあえず落ち着け」と声をかけたキサカに対し、
「いいじゃないキース、その判断は正しいわ!」とラジィはいらぬ推薦した。
 ラジィはそのままキサカを連れて行こうと手を伸ばすが、それをかわして彼はキースの元に引き返していく。普通に考えて、混乱中の人間に病人の看護を頼むのは危険だ。キサカの進言は妥当である。それに細っこいキースに運ばせるよりも、たくましいキサカが運ぶほうが安心だ。
 キサカはアウリーを背負うと、振り返ってラジィに対しお邪魔虫宣言をする。
作品名:エイユウの話 ~夏~ 作家名:神田 諷