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エイユウの話 ~夏~

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「あたしが一生懸命なのを笑ってたんだ!無害なふりして、馬鹿にしてたんでしょ!」
「違う!」
 言った後に、キースは「しまった」と思った。今の言い方は、知っていたことを肯定したことになってしまう。冷静に考えればもちろん断定できないのだが、混乱状態にあるラジィにそれを求めるのは不可能だろう。彼女の目は絶望に染まった。同時に、空から雨が降り始める。
「やっぱり知ってたんだ・・・」
「でもっ、僕は傷つけたくなくて・・・」
 だから、そんな目で見ないで。そんな目をしないで。
 お願いだから、傷つかないで。
「騙されたほうが、疎外されてるほうが、ずっと傷つく!」
 僕を、嫌いにならないでよ、ラジィ。
「・・・最低!」
 そう言ってラジィは走り去ってしまった。
作品名:エイユウの話 ~夏~ 作家名:神田 諷