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双星恋歌

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 何を言われたのかわからない、と訝しげな様子でこちらを見る女。哀れな、と檸爍は心から同情した。
「おかみ…遥家というのを御存じだろうか」
「ええ、まあ。古くからの家でありながら、蔭位に頼らず科挙により登用された有能な若手官吏を多く出している名門ですもの。縁続きの家も多く、よくこの店にも来ていただいて…」
ちらと檸爍の方を見ながら話している最中、とある可能性にどうやら思い当たったらしく、女主人は言葉を失った。その隙をついて玉瑞は拘束を逃れ、ゆっくりと椅子を立ち上がった檸爍の背に回った。地味な色目の袖を引いて、心細げに彼を見上げる。ぶつかった視線に対してやれやれと苦笑する。やっぱり自分は女運が悪いのかもしれないと思った。
「俺の名はご存知の通り遥檸爍なわけだが、あなたが今締め上げようとしていたのは遥玉瑞。遥家の姫で…俺の、説明すると長くなるんだが…いちおうは血の繋がった妹、ということになる」
自分を慕ってくる変わりものの筆頭として上げられる娘を庇うようにして、檸爍は途端にあわあわし始めた女と向かい合った。

作品名:双星恋歌 作家名:鷹峰