歓悪懲悪物語
Jの仕事
「今日はこいつを殺るのか・・・」
つくづくこんな自分が嫌になる・・・
俺だけは正しくあろうと誰よりも強くあろうそう誓ったはずなのに,俺は何をしている?
俺がいまやってる事は,本当に正しいのか?
いや・・・もう自分が正しい,正しくないと言える資格は無い・・・
俺の手はもう血に濡れ過ぎている・・・
「まぁいい・・・この国の害虫を殺さん限りにはどう間違っても平和な時代は訪れない・・・俺は自分の仕事を果たす・・それだけだ!」
ターゲットは経済相の大田典弘(おおた のりひろ)
搾取した金を私腹を肥やすためだけに使う外道か
お前の命もこれまでだ!
*
「・・警備が少ないな・・どういう事だ?・・まぁ,いいさ」
しかし,警備が少ないからかやけに静かだな・・・
いや,違う!
この静けさは警備が少ないからじゃない!
相手のスキを窺うような,不穏な空気に包まれた静けさだ!
!!
「やっと,来たか!J」
「お前がここまでしてきた悪行,天に変わって私が裁いてやろう!」
「ほざけ豚,てめぇが裁かれる側だ」
「威勢がいいな,しかしこれを見てもまだ言えるか?!」
大田がそういうと数十,数百の警備兵が姿を現した
俺を殺すためかマシンガン,バズーカ,ライフルをそれぞれ携行している
「・・・俺を殺すにはえらく数が多いじゃないか」
「念には念を・・さぁ,私の愉悦のために死んでくれ!」
ドンッ!パンパンッ!ダダダダダッ!!
「多いのは数だけだな,そんな玩具で俺を殺せるわけがないだろう」
「な,なに?」
「お前のために言ってやろうこのスーツはな殺した相手への喪服であり,あらゆる攻撃から身を守る戦闘服だ」
「こんなのに勝てる訳がねぇ!」
「くそ!撃て!撃て!」
カンッ!チンッ!チンッ!チチチチチンッ!
「俺の仕事の邪魔をするな!」
ザシュ!グヂュ・・ドロ・・・
「そして,この剣はお前ら,害虫どもを焼き払うためだけにつくった断罪の剣であり,俺の憎悪の剣だ・・・」
ザシュ!ザシュ!グジュ・・・グジュ・・
「ひっ!,やめてくれ金ならいくらでも払う!だから・・だから命だけは!」
「そんな言葉はとうの昔に聞き飽きたし・・・なにより俺は許しも・・金も要らない」
「だ・・だったら!」
こいつはまだ理解していないか
俺がお前を殺すためだけにここまで来たただ一つの理由が
「俺が欲しいのは貴様ら害虫どもの亡骸だけだ!」
「ひぃぃぃ!!」
ザシュ!・・グジュ・・・ゴポ・・・・
「どうも有難うございます・・どうしてもアイツの存在が邪魔でして・・」
「そうか・・で報酬とお前はいったいなにをするつもりなんだ?」
さぁ,お前の首は今,俺の一存にかかっている・・・
俺を『失望』させてくれるなよ?
「報酬は振り込みましたし・・私は日本を掌握して私の国にしますよ・・どうです?あなたの悪いようにはしませんし・・味方についてもらいたいのですが?」
あぁ,こいつもあいつらと同類か
全く・・・『失望』したよ
「すまないな・・お前は今ここで死ぬ」
「えっ?」
ザシュ!!
俺は隣で首と胴体が離れた死体を横に呟く
「俺はいつまでこの手を汚れさせればいい?」