ローラ×ローラ
「あとなんか質問ある?」
オレの黒歴史をさんざんほじくり返して遊びながら書いていた紹介状が完成したのか、ユーンが聞いてきた。
「この報酬の高さって、やっぱりカムリが『アレ』だからかなあ?」
報酬がいいのはありがたいが、少々高すぎる。少しだけ気になったので聞いてみた。
「うーん。それは間違いないと思うけど、それにしても高いと思う。でも他言無用なのは間違いないんじゃない。秘密厳守とか非公開とか並べちゃって、怪しいよねー」
ユーンも同じ意見だった。
「カムリって王位継承問題で政情不安定なんでしょ?護衛っていうのはわかるけど……なんで一週間なのかな?」
「さあ、アタシは知らないよ。行くとこ色々あるんじゃない?スニースの森とかドラゴンの出る荒野を抜けるとか。まぁ、アンタなら大丈夫でしょ。期待してるよ〜」
ぽん、と笑顔で肩をたたかれた。依頼の詳細が公開されていない以上、彼女に聞いても仕方がない。それよりも気になることがあるわけで……。
「……面接が心配だなぁ」
「もし、面接で落ちてきたら、一週間ケーキ抜きだからね」
いいこと思いついたといわんばかりに手をたたいた。全然いいことじゃない。
「ええっ!それは勘弁してよ。……っていうか、今はお客様なんだからケーキ出してよ」
「へいへ〜い。アタシもおなか減ったなぁ」
そういいながらも、オレたちは席を立った。
時計を見るともうすぐ3時になる。お店が忙しくなるのだ。ヴィオレットたちを手伝わなければいけない。
ケーキを食べ損ねたのは残念だが仕方がない。夕方を過ぎて暇になったときに、余ったケーキを食べよう、っと。