ローラ×ローラ
だが、オレとしてもこれ以上夢の話を引っ張るつもりもない。彼女が差し出した依頼書に目を通す。
依頼は「カムリ王国での王女の護衛」。期間は一週間、報酬は50万N
1次面接と試験があって、その合格者のみ二次面接に進み、採用が決まる。
成績の一番優秀なものには特別任務についてもらう。特別任務にあたるものにはプラス350万N。
任務の詳細については非公開。任務内容については秘密厳守。
つ……つまり、特別任務に就くと、400万N。
「よ、よよ、400万N!!すごい!久しぶりだよ、こんなの。ありがとう、ユーン。」
これほどの大口はここに来て初めて、……いや冒険者になって初めてかもしれない。
「こんな大口なかったからね〜。私だってやればできるんだから。どう、すごいでしょ」
腰に手を当て得意そうに胸を張る。
「とかいって、本当はウレアンがとってきたんじゃないの」
「ウレアンは出張中じゃない。正真正銘、アタシがとってきたんだってば。それとも何?アンタ、この依頼いらないのー?アンタなんか、一生このコンフィチュールでウェイトレスのバイトをやってればいいのよ」
依頼書を手に取り、オレの前でひらひらさせてくる。
「あー、ウソウソ。紹介してください、ユーンさまあ」
その言葉に満足したのか、勝ち誇った顔で依頼書をくれた。
「っていうか、オレはウェイトレスじゃなくてウェイターだし。間違えないでよ」
この抗議には当然反応なし。腹立つなあ、もうっ。