小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
有栖川さちほ
有栖川さちほ
novelistID. 40519
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

ローラ×ローラ

INDEX|10ページ/13ページ|

次のページ前のページ
 


「これが、暗殺でなければなんだというんだ!どうせお前の指示だろー!我々を、こ、殺す気だったのかー!」
 お父様はカンカンで、何にも考えていない。何の根拠もなくそんなことを言うなんて。
 横のリースマンがため息をついていた。

「我々が暗殺、いやいやご冗談を。私の願いは国を盛り立てること、それだけです。毒薬?誰かが調味料と間違えて工房から持っていっただけでしょうな。再発防止に努めればよろしい」
 おじ様は余裕の笑みを浮かべている。それを聞いたお父様はますます顔を赤くした。
「う、う、うるさい!そんなワケあるかー!絶対、ローラを殺して王位に就くつもりだったんだろー!言っておくがな、お前がそんなことをしても亡国の予言がある限り、無駄なんだぞ」
「亡国の予言があるからこそ、私が王位に就きソフィーは祭祀のみ執り行うのが最善だと、いつも申しておるではありませんか。亡国の予言に従っているのだと、どうしてそれを納得してもらえないのか……理解に苦しみますな」
「ローラは天才だ!あんな呪われたソフィーなどいらない!」
「確かにローラ姫は天才だ、それは私も存じている。国民の人気も高い。……だが、それを踏まえても、どちらのほうが魔女として高い力を持っているか……今更、言う必要がありますか」
 
 この国、カムリ王国アップルヤード朝は、代々女王が国を支配している。理由は簡単、この国は「魔女(ウィッチ)の国」だから。もちろん、魔法使い(ウォ―ロック)がいないわけではない。しかし、強力な力を秘めているのは男ではなく、女だ。
 一番強力な魔女が王位を継ぐことになっている。私が天才かどうかはともかく、姉であるソフィーさんの魔女としてのレベルはずば抜けている。悪魔召喚・降霊術のエキスパートであり、優れた魔女として名高かったお母様をすでに超えているとも言われている。製薬の修行中である私とは大違いだ。

「うう〜……だ、だからと言って『ソフィーを女王にすれば国は滅びる』のだ!お前がいくら屁理屈つけても予言は絶対だ!」
 私もソフィーさんもまだ幼かったころ、誰もがソフィーさんが素晴らしい魔女として女王として君臨することを信じていた。しかし、9年前にお母様が受けた「亡国の予言」によって状況は一転。計算上、儀式で交わった奴隷であったお父様から生まれたと推測されているが、正確には誰の子かもわからない私が王位継承権があるとされ、王配の血を引くソフィーさんは呪われた存在として冷遇されるようになった。それからは、私は次代の女王として大切に育てられた。私も亡国の予言は回避しなければならないと思い、女王になるつもりだった。
 ところが数か月前、現女王であるお母様が突然の病に伏せてしまった。頭に疽ができてしまい意識を失った。私や国一番の薬司であるマーガレッタさんがどれだけを尽くしても治らず、唯一ソフィーさんが降霊術で呼び出す名医の処置によって、命をつなぐことができた。おじ様が王位継承権を主張してきたのは、そのときである。以降王宮は、王配(女王の配偶者)派とイワン派(向こうには二号派と言われている)に分かれてしまった。
作品名:ローラ×ローラ 作家名:有栖川さちほ