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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「許されぬ想い」 第二話

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履歴書を見せても特別何も聞かれずに、自宅住所がしっかりとしているから大丈夫と判断され、採用となった。
仕事はホールの清掃と雑用だった。開店前の9時から早番が15時まで、遅番が13時から19時までとなっていた。

制服に着替えて慣れない手つきで男子トイレを掃除していると、常連さんだろうか声を掛けてくれた。

「あれ、新人さんだね。ボク毎日来ているんだよ・・・宜しくね」

「はい、ありがとうございます・・・」

「名前なんて言うの?ボクは誠人(まこと)、せいじんって書くんだ」

「誠人さん・・・私は下山です」

「下山?・・・下山雄一は知り合い?」

「ええ・・・そのう・・・」

「まさかご主人?」

「いいえ・・・兄です」

とっさに嘘をついた。

「お兄さん、と言うことは下山さんは独身ですか?」

「はい・・・いいえ、バツ一です・・・」

また嘘をついた。

「じゃあ、同じだ!偶然ですね。仲良くしましょう。じゃあ頑張って下さい」

「はい・・・ありがとうございます」

冷や汗が腋の下ににじみ出ていた。初仕事でこんなふうになるとは思っても見なかったからだ。夫はやはり有名人なんだろうか・・・
誠人といった男性は年のころは40過ぎに見えた。自分は10歳も年上なのに興味があるのだろうか、そんな事を考えながら仕事を続けた。

毎日のように誠人は伸子を見て挨拶を交わしていた。
毎日車で通勤していたが車検があってその日は歩きで出勤していた。遅番だったので19時になって帰り支度をしていると従業員入り口の近くにある喫煙場所で誠人がタバコを吸っていた。歩いて帰る伸子を見て声を掛けた。