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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「夢の中へ」 第十二話

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まどかは中学のときに社会の時間に教えてくれた先生が歴史の裏話を良く聞かせてくれていた事を思い出していた。
本能寺の変も先生が面白おかしく話してくれたことが記憶となって残っていたのだ。
そして徳川家康の知恵袋として天海僧正と言う人物が居た事も聞いたことが思い出されたのだった。

約束の朝次郎左は迎えにやって来た。

「藤次郎様、出かけて参ります」

「ああ、気をつけて行きなさい。くれぐれも身体を労われよ」

「はい、無理はいたしませんのでご心配なされませんように、では」

街道を東に進み山を越えたところに土岐の城下はあった。人通りが途絶えた離れた場所に庄屋の屋敷はあった。
警護の者もいない静かなたたずまいの母屋にまどかは次郎左とともに入っていった。

「お連れしてまいりました」

「ご苦労であった」

天海はそういうと玄関まで迎えに出てきた。

「天海にござる。お呼び立てしてすまなかった。まずは上がられよ」

「まどかでございます」

そう言って頭を上げゆっくりと天海の顔を見た。そこにははっきりと記憶のある光秀の面影が残っていた。

「人払いをしておるからご安心なされ。そなたと二人だけで語り合いたい」

「私などの女子にもったいないお言葉でございます」

「わしは昔の身分ではない。ただの・・・僧侶だ。普通に話してくれ」

「そのように申されましても・・・」

「わしもそのように話すから頼む」

「はい、そのように」

「うむ、まず何故ここに居るのか説明せねばならぬな」

「お聞きしとうございます」