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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「夢の中へ」 第十一話

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そして運命の夜明けがやって来た。
夢枕にあの武将が立ったのだ。

「まどか、ご苦労であった。長く無作法をして申し訳なかった。お前を元の世界に連れてゆこう。起きるがいい」

「私は帰りません。藤子の命と生まれた赤ちゃんの命をこのままになど出来ませんから。もう構わないでください」

「残念だがそうは行かぬ。天の命令に背くからな。藤子は可哀そうだが目を覚ますことはない。生まれた赤子もまもなくその命は潰えるであろう」

「なんと言うことを!そのようなことにあなた様がなされたのですか!」

「バカを申すでない。時の運命じゃ。おぬしはすこし逆らったから戻らねばならぬのじゃ。心せよ」

「イヤでございます。お聞き入れないのなら、私の命も藤子や生まれた赤ちゃんとともに天に召して下さいませ・・・」

「そなたはわしの言いつけを守って望みを叶えてくれた。息子は天に昇って幸せに暮らしておる。今度はわしが望みを叶える番じゃな・・・
二人を元の世界に戻すことは出来ぬ。一人だけじゃ・・・誰が戻りたいのか答えよ」

「引き離されるのはイヤでございます。三人が・・・いえ、藤次郎様と四人が一緒でなければ、このままの運命に・・・従います」

「気持ちは解るが・・・残されるのはお前と藤次郎だけになるぞ、それでよいのか?」

「そのようなこと・・・解るのですか?」

「わしに解らぬことはない」

「なら、私をここへ呼び出さなくても信長様は明智殿に討たれたではありませんか」

「光秀はお前が秀吉と言わなければ、本能寺の事はなかったのだ。ただ私怨のために信長を討ったのではない。後の世の安定を願って、秀吉に任せようと事を起こしたのだ。お前達が知っている歴史の裏にはこの事が隠されているだけだ。元の世界に戻ったらここでの記憶は消える。お前がわしと出会う数秒前に戻してやろう。どうじゃ?」

「家族と離れたくはございません」

「その想いは変わらぬ思いに相違ないか?」

「はい、誓って」

「うむ、未来は変わってしまうが、お前の家系は未来に続いてゆく。藤子の命と赤子の命はわしと息子が救われた礼に助けよう。もう二度とお前の前には現れることはない。幸せに・・・なってくれ」

武将はそう言い残すとすっと消えていった。