卍の謎
「鬼刑事も病気には勝てないと知ってから、急に人生観が変わったらしいよ。花子の事件をこれ以上追跡するのはやめようと言っていた。泰子は夫と花子を供養するために遍路に出たのだろう、それで十分だ。泰子が犯人だとは決まっていないのに俺が嫌疑をかけて追い回したから生きる望みを失ったのだろう。ヤスケや茜にこれ以上付きまとう必要もなくなった。正子やサブローにしても未来のある奴なんだからそっとして置いてやったほうがいい。俺の寿命ももう直ぐ尽きるのだから、罪を憎んで人を憎まずという心境でこの事件のことは忘れようなんて、神妙なことを言っていたよ。後は天の裁きに任せるんだって」
ヤスケは気負ってやってきた力が抜けた。これが本当なら花子の事件から解放される。でも、四国遍路の途次、八島と泰子がばったり出会ったら、何が起きるかわからないと不安でもあった。(了)