困った時のイエス様
生活の病は金が治す
柴宮正と男は言った。スナックのママに渡した名刺を持っていた。
「会社の金に手をつけてしまい、監査がある前に返したいんです」
「立ち入ったことですが何にお使いになったのですか」
「競艇です」
「200万円ですよね」
「いろいろ考えてみましたが、私が貸すのでは後でいろいろなトラブルが起きたときに困るので、絵を買ったことにしましょう」
「何でもお金さえできればいいのですから」
男は必死であった。
高はママの知り合いなので200万円のローンを組んだ。
「金が入ったからと言って競艇は止して下さい。2度とお金は貸しませんよ」
「解っています。これで会社は首にならずにすみますし、犯罪者にもならないで済みます。本当にありがとうございます。大げさではありません神様に見えます」
「人生立ち直れるのでしたら、ぼくも嬉しいです」
高は金で人助けが出来るのであれば、このアイデァで金に困っている人を助けてあげようと思った。
高はそのことをママに電話で話した。
「本当に金に困っている人がいたら僕の所へ来るように言って下さい。何とか助ける事が出来るかもい知れません」
「高さん優しい。困っている人ばかりよ。本当に困っている人がいたら助けてあげてくださいね。以前の私の様な」
「ぼくも困っている事があるんです。実はバツイチなんです。誰か紹介して下さい」
高はパトロンの事が気になっていた。
「今日は店に来られるかしら」
「遅い時間なら、10時頃かな」
「お待ちしているわ」
高は展示会の準備を手早に済ませ、マリエに行った。
5人ほどの客がいたが、ママは高をボックス席に案内した。
「店は早めに閉めるから、閉店までいてくださいね」
高はママの言葉に、気持ちが昂ぶった。
一人身の男が想像することは解りきったことかもしれない。