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吉葉ひろし
吉葉ひろし
novelistID. 32011
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困った時のイエス様

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初めて融資をした人


彼女は銀行の椅子に座っていた。高は番号札を引いた。3人待ちであった。師走であったが、まだ18日である。銀行も普段と変わらない様子であった。
「28番の方」
高の番号である。高は200万円を受け取った。以前より不便になったと考えた。
カードで引き出せる金額は50万円までである。それも例の振り込め詐欺のためである。
こいつらは許せない。弱者から金をむしり取るのだから。
高は金を受け取り、席を立ったが、女性はまだ座っていた。
「番号札取りましたか?」
「はぁ」
高は立っていたので番号札を取った。
「どうぞ」
札を女性に手渡すと、高は銀行を出た。
「すみません。お金貸して頂けるでしょうか」
「・・・・」
「銀行で断られました」
「初対面ですが、それだけお困り何でしょうから、お話しはお聞きしましょう」
高は自分の車に彼女を入れた。
彼女は新藤真理恵と名乗った。スナックのママである。
これからがかき入れなのに、酒屋から酒の仕入れが出来ないと言った。
「そうですか、お店に伺っても良いですか。それで考えてみます」
「嬉しいですわ」
彼女は自分の車に乗った。ママにしては地味な軽自動車であった。
彼女の案内で店に着いた。高の画廊とは大分離れた静かな住宅地である。住まいを改装したようであった。
すぐ近くには市役所がある。客層は公務員なのかもしれない。
「御自分の家ですか」
「父の名義です」
「おいくら必要ですか?」
「20万円ほどですが」
「解りました。返済はいいです。飲みに来ますから」
高は封筒から20万円を数えた。
今の高にしてみればたったのと言いたい金である。しかし彼女にしてみればどれだけの勇気を持って高に声をかけたのだろう。プライドもあるだろう。
「借用書書きますから」
彼女はきちんと便箋に書いて判を押した。

作品名:困った時のイエス様 作家名:吉葉ひろし