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瑠璃 深月
瑠璃 深月
novelistID. 41971
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詩集 風の刻印

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斜陽の帝国
 
 大気轟き、耐え忍び
 声をひそめ、水の音
 ゆっくりと、ゆっくりと近づき
 また、離れ
 近づけば近づくほど遠くへ逃れる
 山脈を追い
 道を選び、または導かれて
 ここに、在る

 上空に風が嘶き、または上昇して
 巻き上げる埃、水、魂
 生まれ、または崩れ
 起き出し、または眠り
 音があり、時を進め
 歩み行き、沈み込む
 めぐるもの、とどまるもの
 空に鳥は遊んだか
 星の乱世は終わったか
 さまよい続けた雲は
 時に雨と無知を
 時には恵みだけを

 掘り起こせ、掘り起こせ
 埋もれるべくして埋もれたものを
 歴史が沈めていったものを
 風が壊していったものを

 掘り起こせ、掘り起こせ
 繁栄の生んだ乞食どもの高貴な魂を
 戦乱と哀しみの生んだ英雄の軌跡を

 道は続く
 丘へと続く
 ティベレより吹き来る風に乗って
 車輪は擦れ、馬はうなだれ
 陽光は肌を焦がし
 オリーブは燃え
 狂った時代は終わりを告げる
 語ればよい、話せばよい
 狂った時代が終わる日を


作品名:詩集 風の刻印 作家名:瑠璃 深月