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出会いは衝撃的に(後半)

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「結婚式の費用に関しては心配しなくてもいい。それよりも新居をどうするか、ということのほうが重要だね」
 美絵は深刻な表情になった。
「浅野さん。わたしには妹しかいないの。わたしの家族と同居するというのはどうかしら」
「そうなんだ。つまり、婿養子という形ではどうか、ということだよ」
 父親は身を乗り出して力んだ。
「婿養子ですか?……それについては少し考えさせていただきたいですね」
 浅野はそれだけは勘弁してもらいたいと思う。高齢の母を単身生活者にさせることを危惧してのことだ。
「今週中に結論を出せとは云わないよ。まあ、とにかく美絵をよろしく頼む」
「プロポーズのことばを聞けなくて残念だけど、浅野さんよろしくお願いしますね」
「プロポーズね。御来光のときに、ちょっとそれ風のことを云ったみたいだけどね」
「あびらなんとかって、あれね?」
「何だいそれ、御来光だって?」
 父親は笑いながら云った。
「何か呪文を唱えれば、強烈な寒さを克服できるような気がしたんです。それに、叶えたい願いもありました」
 浅野は抗議するように真剣な面持ちで云った。
「そういうことか。ええと……おんそらそばていえいそわか。確か、そうじゃなかったかな。どこかの弁財天に書いてあったよ」
 村田は遠くを見るような様子で云った。
「そうですか。でも、願いは通じたみたいです」
 浅野はそう云って笑った。