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出会いは衝撃的に(後半)

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「普通は反対する父親が多いらしいね。しかし、私は娘の気持ちを尊重したいと思っている」
「じゃあ、問題なくこの話は前進あるのみということですね」
 そう云いながら、浅野の顔は緊張のせいで蒼ざめている。
「前進あるのみか。いいだろう。そういうことで」
 村田は煙草に火をつけた。美絵がすぐに灰皿をテーブルに置いた。村田は煙草のパッケージとライターを浅野の前に置いたが、浅野は身振りで喫煙を辞退した。タクシーは禁煙なのでやめたのである。
「……ただ、実際は問題がないわけではありません」
「そうだろうね。浅野君のご家族の意向を無視するわけにも行かないし、美絵の母親の気持ちもきいていないからね」 
美絵は急に笑顔になって云った。
「お母さんはね、浅野さんを気に入ってくれたの。この前、浅野さんのタクシーに乗ってもらって……」
「あっ!思い出した。この前確かに美絵さんのお母さんらしい人と話をしたよ。目黒から六本木の国立新美術館まで乗っていただいたんだ」
 その中年女性の気さくなところを、浅野も気に入っていた。
 美絵は不思議そうに浅野を見た。
「そうよ。どうして判ったの?」
「娘が理学療法師だって云ってたから、しっかり顔を見ちゃったよ」
「お母さんったら、また余計なことを……」
 浅野は笑っている美絵の父親に向かって云った。
「ただ、最大の問題は経済的な面ですよ。結婚するにはかなりの費用が必要です。母は私が説得しますが……」