出会いは衝撃的に(後半)
「今朝ここへ着いたばかりよ。パパ、浅野さんは凄く優しくていい人よ。浅野さん大丈夫?」
美絵も気が動転している様子である。
「そうだね。聞いた通りの好青年って感じだね。大丈夫ですか?」
はい、と、かろうじて返事はしたものの、そのあとも浅野は咳き込んでいる。
「急に入ってきて、驚かせてしまいましたね」
「あっ。パパにもコーヒーを……」
「ああ、ありがとう。まあ、座ってください」
「はい、ありがとうございます」
「パパ、トーストも食べるね。サラダはわたしと一緒でいいよね」
父親の前にトーストパンとサラダの皿も置かれた。
「腹が減ってたんだ。ありがたいね」
美絵の父は初めて笑顔になった。
「そうだ。こっちも挨拶しないといけないな」
美絵が機先を制した。
「浅野さん。わたしの父です」
美絵は嬉しそうにそう云った。彼女の父親への愛情と愛着を浅野は感じた。
「村田久彌です」
村田は硬い表情になって会釈をし、ついで笑顔に戻った。その直後、再び驚いた顔になった。
「あっ!」
村田と浅野は同時に声を挙げた。そのあと村田が改めて名を呼んだ。
「浅野君!」
村田の驚きは並大抵ではなさそうだ。浅野もそうだった。
「村田先生!」
作品名:出会いは衝撃的に(後半) 作家名:マナーモード