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出会いは衝撃的に(後半)

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                *

 朝食のとき、風呂上りのビールを勧められた浅野は断った。帰り道の途中で運転を交代する場合もあるかも知れないと思ったからだった。
「大丈夫よ。追突しないから」
「高速道路の渋滞って、凄く眠くなるからね。いつでもピンチヒッターを引き受けるよ」
「それをお願いするとしたら夕方だから、今は飲んでも大丈夫よ」
「そういう考えは棄てるべきだな。バーベキューのあと飲酒運転で捕まる人が多いって聞くよ」
 浅野がトーストパンをかじりながら云ったそのとき、玄関のチャイムが鳴った。
「あっ!パパが来るって云ってたの、忘れてた」
「えっ!やばいね。どうしよう」
 合鍵でドアを開錠する音が聞こえてすぐのことだった。眼を丸くしている太めの年配の男が、声と共に現れて云った。
「美絵ちゃん!いつからここに?……何だ、お客様か」
 視線が合ってしまったその相手は美絵の父親らしいと気づきながら、浅野はパンを持ったまま慌てて立ち上がった。
「お邪魔しています。最近まで美絵さんの患者だった浅野と申します」
 頭を下げた浅野の口の中にはまだパンが入っていた。急いでそれを飲み込もうとしたので喉が詰まった。彼は慌ててコーヒーを飲んだ。コーヒーが気管に入って苦しくなり咳き込む。