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吉葉ひろし
吉葉ひろし
novelistID. 32011
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代償    (旧人間ドック)

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告白

食事はアユの塩焼きや栃木和牛のすきやきなどが出た。その美味さに祐二は彼女を忘れた。
合い向かいでいるとごく自然な関係に思えた。その事が平常心を保っているのかもしれない。
愛と言う女性ではなく自分の妻と食事をしている様な感じなのだ。
食事を終えて外に散歩に行くことにした。
「本当の事言うと、本田さんの子供が欲しいのです」
「ぼくの子を」
「全く知らない方よりは、本田だったらと相沢が言うのです」
「理解できないな」
「本田さんなら頭もいいし、医者の子に生まれたら、それ相当に賢くないと」
「それでですか」
「相沢は前から考えていたようです」
祐二は彼女から告白されると、はいそうですかと彼女を抱く気にはなれなないと思った。
静かな温泉町に散歩する人の下駄の音が響いている。その音が遠ざかると川の水音が聞こえて来た。
「宿に戻りましょう」
愛は祐二の腕に自分の腕を差し込んだ。彼女の香水が匂って来た。
無言で歩いて行くことが余計に祐二の心を迷わせた。
部屋に戻ると蒲団が敷かれていた。
彼女は何も言わずにあかりを消した。
祐二は妻以外の女性と畳の上での行為は初めてであった。何人かの女性と関係はしたが、全てベットであった。
拒否する勇気よりも新しい女性を求める性欲が勝った。
愛は初な女性であった。豊富な体験をした祐二はそう感じた。祐二のテクニックに愛の体は悶えた。
事終えた祐二はやはり後悔した。若い身体を知った事にである。
一晩中川の水音を聞いていたように祐二は感じて朝を迎えた。
「おはようございます。お風呂気持ち良かった」
何もなかったようなすっきりした挨拶であった。