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吉葉ひろし
吉葉ひろし
novelistID. 32011
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代償    (旧人間ドック)

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誘惑

宿の玄関に入った時、祐二は大人の約束事はどこまでなのかと、恋人とはどこまでの許容範囲なのかと考えた。さすがに一夜を過ごすことさえためらうのに、男と女の関係だけは自制しなくてはならないだろうと考えた。
部屋に案内され、窓際の椅子にかけて景色を観ると、鬼怒川の深い緑の水がゆっくりと流れていた。同じ場所を通り過ぎる水はいつも新しい、何か人生と似ているなと祐二は感じた。
「お茶を入れました」
用意されていた菓子とお茶をテーブルに愛は置いた。
「夫婦のようですね」
「今日はそうでしょう」
「そう思いますか」
祐二は作り笑いをした。
「お風呂に行きましょう」
愛はそう言った。
祐二は浴衣に着換えた。愛は浴衣を持って祐二を待っていた。
祐二は大きな風呂は久しぶりであったから、気持ちが良かった。
風呂上がりのビールの事が頭に浮かんだ。
飲み過ぎて羽目を外さないようにと心に言い聞かせた。
風呂から部屋に戻ったが、彼女はまだ戻ってはいなかった。ビールが飲みたかったが止めた。彼女はの帰りを待った。
浴衣姿の愛は豊満な胸のふくらみを感じた。色香を感じた。
「良いお風呂でしたね」
「疲れが取れました」
「ビール召しあがるでしょう」
「はい」
「私も頂くわ」
祐二と愛は乾杯した。一口は実に美味い。
愛はコースターを床に落とした。それを拾う時に、愛の乳房がはっきりと祐二に見えた。
「食事は部屋まで運んで頂きましょう」
彼女のその言葉で、祐二は我に返っていた。
ここまで来て我慢する事もないだろうと祐二は考え始めた。
「お酒のせいかしら暑くなったみたい」
彼女は浴衣の袷を緩くしながら、パタパタと風を入れる仕草をした。
「エアコン強めますか」
「このままでいいです」
乱れた浴衣姿は祐二を誘惑しているようであった。
「本田さんはお子さん3人いるそうですね」
「はい」
「羨ましいですわ。私も39ですし、子供欲しいわ」
「仕事が忙しくってと相沢は言ってましたが・・・」
「出来ないのです。相沢の体では」
「ごめんなさい」
「本当の事ですから、気になさらないで下さい」
彼女はビールを飲みながら言った。
「相沢ったら子供つくったらいいなんて言うのですよ」
彼女の顔は赤くなっていたように祐二には見えた。
「失礼します」
その時食事が運ばれて来た。