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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「夢の中へ」 第十話

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山崎での合戦に敗れ敗走した光秀軍は山中に潜んでいた手柄目当ての夜盗や農民兵に悩まされながら、坂本を目指していた。
光秀が不覚を取って負傷しその亡骸をすり替えた者がいた。そのため最後まで首が見つからなかったことが秀吉には悔やまれた。

そして坂本城では秀満の懇願も叶わず、ひろこと光慶そして秀満自身も限界を悟り火を放って自刃した。光秀の後を追うようにここにも戦国の世の悲しい定めがあった。


まどかはこの月の終わりごろに全てを聞かされた。
知っていたことと言え、涙が止まらなかった。幼い心にも記憶が残っていた藤子も母につられて泣いていた。

「母上さま、光慶さまのお姿はもう見られないのですね。そしてお母上様のお姿も・・・」

「藤子、マリア様にお祈りをしましょう。天国で安らかに過ごされるよう二人で祈りましょう」

「はい」

まどかは坂本から帰ってきてずっと悩み続けていた。ひろこや幼い子供達が救われる方法がないのかと・・・
全てを知っている自分はその命を救えるのだと考えると誘惑に負けそうになる。この時代へやって来た本当の意味はなんだったのだろうか。
あの夢に立った武将は誰だったのか、そして今目的を叶えられたとしたら、自分や夫、藤子の運命はどのようになって行くのだろうか言いようのない不安に襲われだした。